2019年6月 定例会 本会議質問③  - 特別支援教育について(音声教材とUDフォント) -

江戸川区では、この2月に「発達性ディスレクシア」についての講演会を、小中学校のお子さんの保護者及び関心のある方向けに行いました。

発達性読み書き障害への理解を深め、学校、また、家庭、支援機関のかかわり方や、具体的な支援方法を学ぶというものです。

しかし実際には、まだまだ音声教材や読みやすいフォントというものが使われていない状況にあります。

現に私が書いているこのホームページも、見る環境によっては読みにくい字体となっているように思います。

比較的読みやすいといわれている「メイリオ」、ウィンドウズ10から標準アップデートを行うと使えるようになった、モリサワの「UD デジタル 教科書体」があります。誰にとっても読みやすいフォントが当たり前に使われるようにしていくことが必要です。

障害はいま、本人に起因するものと考える「医学モデル」から、環境がそうさせているとする「社会モデル」へと考え方が変わってきています。

授業に集中できないとされる子どもたちも、適切な環境があれば学びに集中することも可能だと思います。

この間のコンピュータ技術の向上で、その子どもに合った環境をつくりだせているのです。

「ぼくはバカじゃなかったんだ」という子どもの声を大切にしていただきたいです。

令和元年度音声教材普及推進会議は、8月22日(木)13時より文部科学省旧庁舎6階第二講堂でおこなわれます。

申込は7月17日まで、対象は(1)各都道府県教育委員会の教科用特定図書等担当者等、(2)市町村教育委員会の教科用特定図書等担当者等、(3)学校の教員、保護者等(音声教材を使用していない者も含む)となっておりますので、保護者でも申し込みができます。

 

 

ーーーーーー 質問文 -------

本区においては、小学校には電子黒板、中学校にはプロジェクターが全校に設置され、学校のICT環境の整備が進められています。

また、紙の教科書の内容をタブレット端末などに取り込んだ児童・生徒用の「デジタル教科書」が4月から使えるようにもなりました。

こうした教育現場のICT化は、特別な配慮が必要な児童・生徒の学習支援にも役立つことが期待されます。文部科学省の2012年の調査によると、発達障害の可能性があるとされた児童・生徒の割合は6.5%です。なかでも、ディスレクシアという読み書きに困難さを抱えている児童・生徒への対応が求められています。

共生社会の実現に向けて、障害のあるなしに関わらず、同じ教室内で学ぶ権利を保障できる環境を整えていくことが重要です。

読み書き障害は、たとえば、書くことについていえば、漢字を覚えるときに多くの人がする反復練習では、いくら繰り返しても書けません。しかし、PCで文字入力をする環境があれば、漢字を記すことができるのです。

また、読むことについては、極端に時間がかかり、間違えることも多く、読むだけで疲れてしまう状況になる児童もいます。このような児童・生徒への支援として、通常の検定教科書では一般的に使用される文字や図形等を認識することが困難なため、パソコンやタブレット等の端末を活用して学習する、音声教材というものがあります。年齢や個々のニーズにより、どの教材が適しているのか、その児童・生徒にあったものを選択できることが必要です。文科省では、調査研究をボランティア団体等に委託しており、読み書きが困難な児童生徒に無償提供しています。小学校用音声教材は2015年に全国の教科書センターに送られ、2017年には、「マルチメディアデイジー教科書」、「アクセスリーディング」、「音声教材BEAM」という、中学校用の3種類の音声教材サンプルを教育委員会に送付し、その普及推進を図っています。

2018年度の文科省音声教材普及推進会議では、児童・生徒の読み書きの困難についてのアセスメント方法も、紹介されており、音声教材支援を取り入れる根拠にもなっています。そこで伺います。

音声教材の活用はどの程度すすんでいるのでしょうか。特別支援学級、特別支援教室、普通教室での活用状況についてお聞かせください。

文科省の音声教材普及推進会議の事例発表では、通常学級での使用で、多動傾向の生徒が授業に集中して参加できた、内容理解が進んだという効果が報告されており、学習環境を整えていくことが必要だと考えます。

まずは、特別支援教室で音声教材を使用し、それぞれの児童・生徒にあった学び方を身に着けていく機会を作ることが望まれます。音声教材の種類によっては、小型のゲーム機や音声ペン、ICレコーダーでも使用できますので、家庭学習での利用につながり、学ぶ喜びを見い出せます。このような段階を経て普通教室での活用も進むと考えます。

環境整備の観点からは、特別支援教育におけるパソコン環境を優先して整えていくことが望ましいと考えますが、いかがでしょうか。

また、文字の形についても、明朝体だと目に刺さった感じがしたり、読むことにとても疲れると言われています。教育の現場で教職員が作成したプリント物や、パソコンの画面で目にする文字に、形がわかりやすく読み間違えにくいユニバーサルデザインフォントを導入することで、すべての児童・生徒にとって伝わりやすくなることが実証されており、全体の学習意欲と学力の向上につながっています。

本区においても、教育現場において、ユニバーサルデザインフォントを導入してはいかがでしょうか。お考えを伺います。

ーーーーーー 教育長答弁 -------

特別支援学級2校、支援教室1校。

十分な教育を受けることができるように、教材等、学習環境には配慮すべきと考える。ボランティアからも話を聞いている。国や都の調査研究を、効果、環境整備について研究していく。

特別支援教室でより充実した指導を受けられるように、巡回指導の担当教員用に拠点校14校にタブレット、通級にも配備している。ICT環境の導入で学びやすい環境整備を研究していく。

すべての児童生徒が読みやすい教材を使用すること、UDフォントは大事なこと。さまざまなフォントの工夫や、パソコン機能を活用しながら、個々の生徒が学びやすい環境を、ICT環境の進化によって、ハンデを感じることなく学習に集中できるのは素晴らしいこと。研究していく。

 

ーーーーーーー 意見 --------

教科書バリアフリー法に基づき、発達障害がある児童生徒が十分な教育を受けられる環境を整備するために、文科省が普及推進をしている事業での音声教材です。障害は、個人の側にあるとする医学モデルから、社会の側がつくりだしていると考える概念へと変わっており、それは教育現場でも同じことではないかと考えます。音声教材については、まだ、活用の余地があると考えます。

UDフォントについては、windows10で標準フォントの1つとして採用されています。フォントによって、文章が読める、読めないに直結しますので、その認識をもち一人一人の個性に合わせた教育の実践をお願いします。

 

以下 参考になるリンクをご紹介します。

●文科省 音声教材

●文科省「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」(通称:教科書バリアフリー法)についてH20.6.18公布、同年9月17日施行

通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について

奈良県生駒市では全小中学校で4月からUDフォントを導入