江戸川区に必要な治水対策 ー2026年第2回区議会定例会本会議質問ー

最後に取り上げたのは江戸川区スーパー堤防整備方針です。

この件は私が議会に入った当時から、問題であったテーマです。

ゼロメートル地帯に暮らす私たちの江戸川区をどう水害から守るのか、その方針を持つことはとても大事です。

 

私が小学生のころの教科書「私たちの東京都」とに、

「水面下に人々が暮らす江戸川区」と、写真とともに掲載されており、子ども心に強烈な印象を受けたことを覚えています。

堤防がなければ水の中になるなんて…と。

下水道整備もすすみ、堤防で守られていることを忘れてしまいがちですが、重要なテーマです。

 

こちらは、みごとにお決まりの答弁が返ってきました。

国の高規格堤防の問題については、江戸川ネットの先輩から引き継ぎ、住民の方の反対運動の声を議員になって以来、伺ってきました。

国交省にヒアリングをしたことや、今はオランダに暮らす、元生活者ネットワークの同僚からも現地のことを調査報告してもらったことも質問文に入れました。

気候危機が言われている今日、大事な治水の方針を20年以上見直さないことは考えられません。

 

以下質問文と答弁です(正式なものは区議会HPをご覧ください)

 

 

 

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質問文

最後に、区が20年前、2006年に定めた「江戸川区スーパー堤防整備方針について」伺います。

この方針は「かつて経験したことのない洪水や高潮への対策とともに、軟弱地盤にある河口低地部においては、迫りくる大地震への備えも急務となっている」ことから、「本方針は、予測しえない様々な自然災害に対して、極めて強靭な構造を有するスーパー堤防整備に向けて、江戸川区が学識経験者及び国・都の河川行政関係者等とともに、その必要性を論じ、具体策を取りまとめた「整備方針(案)」を、江戸川区都市計画審議会に諮問し、『江戸川区スーパー堤防整備方針』として答申を得たもの」とのことです。

 

2種類のスーパー堤防事業が明示されており、江戸川・荒川・中川は、通常の堤防高さの30倍を持つ幅をまち側になだらかに盛り土し、その上に住居を建てる国の高規格堤防で、もう一つは旧江戸川・新中川を対象に、50mの幅で背後地の土地利用に応じて柔軟に対応する都型のスーパー堤防により、全ての沿川での整備を目指し、順次進めていくとされています。

つまり、区内を流れる一級河川のうち、国の管理河川は高規格堤防で、都が管理する河川では都型スーパー堤防をつくるというものです。

低地帯であり、しかも軟弱地盤の上に多くの区民が暮らす本区にとって、堤防を強化する方針を持つことは重要です。しかし、この間、国の高規格堤防については、区議会に対して、区民からの反対陳情が途切れることなく提出され、議会でも依然賛否が分かれています。

会計検査院は、2003年(平成15)に、決算検査報告ですでに問題ありと指摘していた本事業について、改めて国会からの要請を受け、2度目の検査を2010(平成22)年に行っています。

単純計算では完成まで約400年、累計事業費約12兆円を要する、とされた経緯を示しています。 その後、国は整備区間を絞り込み、6つの河川、計約870キロから5つの河川の下流域、計約120キロにしましたが、このこと自体、やはり時間軸や予算など、治水事業としての致命的な問題が確認・共有された証ではなかったでしょうか。国交省の検討会資料でも、2017(平成29)年3月末時点で整備済みは約14キロ、基本的断面形状が確保された区間は約3.3キロ、約2.8%にとどまるとされています。 先日の予算特別委員会でいただいた資料においても、整備済み延長は2025年(令和7)年4月末現在約15.5キロであり、8年間で1.5キロの整備です。さらには、会計検査院は破堤しないという効果は基本断面が完成した場合に初めて発現すると指摘していますので、その性能が発揮される見通しが立たない事業であると考えます。

「さらに、国の「河川管理施設等構造令」では19条に「土堤原則」を規定しています。「堤防は、盛土により築造するものとする。 ただし、高規格堤防以外の堤防にあっては、土地利用の状況その他の特別の事情によりやむを得ないと認められる場合においては、その全部若しくは主要な部分がコンクリート、鋼矢板若しくはこれらに準ずるものによる構造のものとし、又はコンクリート構造若しくはこれに準ずる構造の胸壁を有するものとすることができる」という規定です。

(堤防は土を盛ってつくる、ということですが、但し書きもあり、やむを得ない場合は、コンクリートや鋼矢板などの使用も認めるが、高規格堤防だけは原則通り、と明記されています。

土が水や揺れに弱いのは明らかであり、現に、東日本大震災では利根川の高規格堤防にも被害が及んだことを2017年の国交省ヒアリングで確認しました。 各地では  この規定に基づき、土だけではない堤防強化が進められています。」

 

住民の7割が海面下に暮らすオランダでは、国家的治水対策事業「デルタプログラム」が始まっています。2050年までに気候に強く、水に強い国土にする」ことを目標にしており、気候変動による極端な降雨や高水位への対応が重要政策となっています。この5月にライン川の護岸工事が完成しましたが、ウォーターフロント地区であるラインカーデは、単純な河川工事ではなく、現場周辺にはカフェやレストラン、歴史的建築物、歩行者空間、地下インフラ、道路交通が密集している都市中心部での難工事であり、通常の振動式杭打ち工法では騒音、振動、営業妨害、建物への影響が問題になる可能性が高かったため、日本企業が開発した技術が採用されました。既存の土の堤防の中に鋼管杭とZ型鋼矢板による連続した複合壁を圧入機で構築する手法です。

国や区は、唯一壊れない堤防がスーパー堤防であると説明してきていますが、この気候危機の時代における治水対策は、本区の立地を考えれば、時間という概念をもつことは極めて重要であると考えます。さらに、土のみでの築堤という旧態依然の工法についても再考は必要と思われ、このままでは区民を守ることは難しいのではないでしょうか。

方針策定時にも異常気象を踏まえた治水強化は謳われていましたが、20年経った今日、気候問題はさらに大きなウエイトを占めるようになり、本区でも気候変動適応計画も策定され、気候危機に対する対策が進められています。さまざまな見直し強化を迫られる中においては、スーパー堤防整備方針も例外ではありません。むしろ進んで見直すべきではないかと考えます。

そこで4点伺います。

 

1点目は、江戸川区として、事業が完成する可能性をどう評価しているのでしょうか。スーパー堤防整備方針には、「スーパー堤防整備は、長い年月と莫大な経費を要し、沿川住民の理解と協力が不可欠」とありますが、そのいずれに対しても、疑問は払しょくされません。完成の見通しがない事業を区の基本方針の中心に据え続けることは妥当なのでしょうか。

スーパー堤防整備方針にある「堤防を生命線として守られている宿命」である江戸川区において、土を盛るだけの工法に加え、その堤防上にまちをつくることが、区民を守るために最も効果的なのか、あわせて検証をすべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。

 

2点目は

完成までの間、通常堤防区間や暫定整備区間には決壊リスクが残ります。そこで、スーパー堤防の完成までの間に既存堤防の破堤リスクをどう低減するのかを、整備方針に明確に位置づける必要があるのではないでしょうか。区は、スーパー堤防整備方針を、スーパー堤防単独の推進方針から、ゼロメートル地帯における破堤リスクを最小化する方針へ見直してはどうかと考えますがご見解をお聞かせください。

 

3点目はスーパー堤防整備方針を策定してから20年が経過し、この間、方針とは異なる事業展開になっているところもあります。

東葛西9丁目北地区の堤防整備は旧江戸川の堤防ですので、スーパー堤防整備方針を持つ本区においては、当然都型のスーパー堤防整備がなされるところです。しかし、当該地区は、緩傾斜堤防で整備されるとのことです。そうであるなら、区内全川において国の高規格堤防、あるいは都のスーパー堤防にしていく整備方針をこのままかかげる必要はなく、見直しが必要なのではないかと考えます。ご見解をお聞かせください。

 

4点目は

スーパー堤防整備方針は学識者と行政のみで決めていった経緯がありますが、まちづくりに市民参加は不可欠です。現在、そして将来にわたり、命や生活を左右する重要問題であり、平穏に暮らす住民に移転や再築を求めるなど、大きな負担も負わせる事業です。方針検証にあたっては、最初の段階から住民の参加を得て、ともに行うことを求めるものです。ご見解を伺います。

 

 

 

●区長答弁

スーパー堤防事業が完成する可能性の評価についてお答えいたします。 大規模水害が最大のリスクである本区にとって、壊れない堤防の整備は必要不可欠な事業です。 国、東京都ともに、河川管理河川において、高規格堤防、スーパー堤防で堤防強化を行うという方針は変えておりません。 本区といたしましても、国の高規格堤防、東京都のスーパー堤防を整備することを基本とする江戸川区スーパー堤防整備方針に基づき、沿川地域の皆様のご理解、ご協力をいただきながら、安全安心なまちまち作りに取り組んでまいります。 土堤原則、堤防の上に街を作ることについてなどは、部長から答弁をいたします。

次に、スーパー堤防単独の推進方法から0m地帯における破堤リスクを最小化する方針へ見直しすべきということについてお答えをいたします。 国よれば越水に対して、決壊しない堤防は高規格堤防だけです。 区民の生命財産を守るため、大規模な洪水で節水しても決壊しない高規格堤防の整備を推進してまいります。 なお、スーパー堤防の整備には時間を要しますが、一部区間での整備や、暫定的な断面の整備であっても、堤防の安全性は格段に向上します。 また、既存の堤防の強化についても、各河川管理者が継続して実施をしています。

括弧3、括弧4については、部長から答弁いたします。 以上です。

 

●土木部長

私からはですね、江戸川区スーパー堤防整備方針についての質問のうち、まず土堤原則についてお答えいたします。国が定める河川管理施設等構造令において堤防は盛り土により築造すると示されております。 盛り土で築造する理由については、構造物としての劣化が起きにくい材料の取得が容易である、万一の被災時にも復旧が容易で、復旧のための期間も短くて済む。 などの利点があることから工法として優れております。

 

次に堤防の上に街をつくることについてお答えいたします。 国の高規格堤防や東京都のスーパー堤防については、幅広い堤防上の高台化された土地を活用してまち作りや公園を整備することを想定しております。 国の高規格堤防や東京都のスーパー堤防と一体でまち作りを行うことは、堤防強化はもちろん、町の課題を解決し、良好な住環境をつくることになり川に囲まれた本区にとって、合理的かつ効果的な手法と考えております。

 

次に、都型のスーパー堤防の現状と方針の見直しについてお答えいたします。 最初に東京都のスーパー堤防と緩傾斜堤防についてご説明いたします。 まずスーパー堤防は、住宅側に最大50mの緩やかな傾斜の堤防を作り、その堤防上に道路や公園などを整備するものです。 一方で緩傾斜堤防は住宅側ではなく、川側に堤防を緩やかに広げるものです。 東京都のスーパー堤防は、住宅側に広げるため、その整備に当たっては、土地をお持ちの方の協力を得て、開発と一体的に整備をすることが特徴です。 東京都は旧江戸川および新中川の堤防について、スーパー堤防を整備する方針です。 現状緩傾斜堤防として整備した箇所は、今後土地利用が変わるタイミングに合わせて、東京都がスーパー堤防として整備していくものと承知しています。

以上のことから、江戸川区スーパー堤防整備方針の見直しは考えておりません。

 

最後に方針検証は住民参加でについてお答えいたします。 スーパー堤防整備方針自体を検証するということではなく、これまで整備してきた場所ごとに検証を行い、事業中にいただいた地域の皆様の様々な意見を踏まえ次に生かしております。 以上でございます。

 

●本西第二質問

スーパー堤防整備方針についてなんですけど、私が質問した意図としましては、スーパー堤防整備方針によってこの間事業を進めてきて、その事業ごとの検証を行ってきたという答弁がありましたが、そのスーパー堤防事業、スーパー堤防方針を持ってそのことを前に進めるための検証ではなくて、区民の生命や財産を守るためには、この方法が、この方針を持つことが最良なのか、その点をもって検証を進めていただきたいという思いで質問をしました。 時間軸の観点を持つことは大事ですし、破堤リスクに対して、区民をどう守るのかを示すことが必要であり、国を持ち出さず区としてできることの方針を持つべきではないでしょうか。 0m地帯である本区に破堤することはあってはならない。 だから川からあふれた水を町に流すというスーパー堤防整備をする方針を持つのであれば、浸水に耐えうる町にすることが求められるわけで、街中の整備をあわせて、進めていくことが必要になると考えます。 このようなことから、スーパー堤防整備方針の見直しが必要だと考えますが再度伺いと思います。

 

●土木部長

先ほどお答えした通りです。

 

●本西 意見と要望

とても残念なんですけども…。私としましては、このスーパー堤防整備方針というものを、やはりきちんと検証し、区民とともに検証していくことが必要だと思います。 都型のスーパー堤防にしても、やはり景観や修景を目的としたものであるなら、なおのことを、スーパー堤防整備方針に並列に書き込むということが、区民に誤解を与えかねないと思います。 ですので、必要ないと考えておりますので、こういったことも併せてスーパー堤防整備方針の見直しを、ぜひしていただきたいと思います。 以上です。