赤ちゃんの頭をうたせないで! 第二回区議会定例会 本会議質問から
虐待による一時保護って、自分達には関係ないと思いますよね。
あれは、ひどい親のすることって。
でもそんなことはないんです。
不注意で子どもにけがをさせてしまった場合も、一時保護されることがあります。
この件を知ったのは、
東京都立墨東病院の元脳神経外科医長の藤原一枝先生とお会いしてからです。
脳が揺さぶられると大変なことが起きることからでした。
親の知識不足で取り返しのつかない事故になったら…。
一時保護により、子どもと離れる期間をなるべく少なくするには…と。
江戸川区の児童相談所は、住民に一番近い基礎自治体が運営する児童相談所です。
よもやそんなことはあるまい。と思っていますが、やはり確認が必要です。
質問することにいたしました。
以下質問文です。
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まずは、SBSいわゆる乳児揺さぶられ症候群もしくは虐待による頭部外傷による一時保護、そうしたことを疑われた一時保護に関連してお聞きします。
乳児はお座りや掴まり立ちを始めたころなどから転びやすく、何かの拍子でばたんと後ろに倒れて頭を打つことがあります。
その後、意識がなくなったり、痙攣が起きて、救急車で運ばれた病院では、CT検査の結果、急性硬膜下血腫、眼底出血、浮腫が認められると児童虐待防止法に基づき児童相談所に通告する義務があります。
事故であるにもかかわらず一時保護となる場合があります。
昨年3月に厚労省が発表した、
「2020年度子ども子育て推進調査研究事業の児童相談所における虐待による乳幼児頭部外傷事案への対応に関する調査研究」によると、125人が一時保護されていました。
そのうち、2カ月以内に自宅に戻ったのは6人、2カ月以上の一時保護が54人、施設入所という親子分離が65人でした。 2カ月以上の親子分離が95.2%の人に起こっていたのです。
一時保護は、2カ月と決められています。
もちろん子どもの命を一番に考えれば、児童相談所では家に返すことに慎重になることは理解できますが、愛着形成の大事な時期であり、成長著しい時期の親子分離はなるべく避けたいものです。本区の場合は、地域に密着した区児相ならではの対応もあるかと考えます。せめて、面会謝絶が緩いことを願います。
そこで本区の児童相談所では乳児の頭部外傷による通告に対して、一時保護の判断など、どのように対応しているのか伺います。
児相所長答弁:安全が第一。頭部の損傷程度、養育条件、保護者の意向。様々多角的に情報を収集して、判断している。
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次に、虐待事案として対応したケースであるものの、刑事裁判で無罪判決が相次ぐなど、負傷原因の判断が課題になっている現状についてです。先日、新潟で生後5か月だった長女の頭を揺さぶるなどしたとして傷害の罪に問われた男性を無罪とした判決がありました。新聞報道によると、激しい揺さぶりではなく、「長女が母親に抱っこひもで抱かれていた際、階段の上りおりや小走りで揺さぶられたとも考えられる」と指摘、血液検査の結果などから発症は、父親が揺さぶったとされる午後7時ではなく、午後4時から5時ころという合理的な疑いがある」としたと言います。
また、日本小児神経外科学会が2021年6月に発表した6病院の共同研究によると、「脳神経外科で硬膜下血腫と診断された、乳幼児160例を分析したところ、約6割を低い場所からの転倒・転落が占め、虐待が疑われる例は約3割だった」という調査結果でした。研究者は虐待対応の手引を見直す必要性を指摘しています。
そこで、江戸川区においても、SBSやAHTの判断は慎重に行うことを要望します。
また、この手引きの見直しを国が行ったとしても、改定にいたるまでは時間を要します。そこで、今できることとしては、一刻も早く、頭をうたせないようにすること、脳にダメージを与えないように注意喚起を、保護者をはじめとした多くの方にしていくことだと考えます。
最近の子育て世帯は、遅れないように出社する、上の子どもを幼稚園や保育園に送るなど、時間に追われることが多くあります。子育ての知識不足が、取り返しのつかない事故につながることがあります。
大阪で抱っこひもで縦だきをし、スピードをだして自転車に乗ったことで、3兆候ありとなり、保護された事例があります。無罪が確定していますが、判決が出るまで3年、親子分離が起こりました。
本区で行うハローベビー教室や乳幼児健診において、なぜ転倒に気を付けるのか、シチュエーションの説明だけでなく、脳に衝撃を与えない注意を伝えていただきたいものです。
そこで、お座り、つかまり立ちからの転倒を防ぎ、頭をうたないことの、注意喚起をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
健康部長:ハローベビー教室で情報提供をしてきた。 転び方によっては、けがをすることを注意喚起してきている。保護者に対して、発達段階での注意をしていく。
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最後に、一時保護のありかたについてお聞きします。
現在の一時保護の制度では児童相談所が保護決定をすれば、一方的な保護となります。本区においては、子どものアドボケイト活動を行う団体が入っており、先進的な取り組みがなされていることもお聞きしております。
しかし、一時保護に不服があった場合、行政に審査請求をしても、2か月以内には結果は出ません。裁判をおこしても同様です。
こうした事態に対して、明石市では第三者委員会が関与をしています。一時保護される子どもは2日以内に面接がなされ、保護者等も児童の一時保護に関する不服や面会制限に関する不服を持っていくことができます。
そこで、本区においては、子どもの権利擁護委員が行う、「えどがわ子どものほっとライン」の機能を充実させ、常設とし、相談・救済に力をいれた、「子どもオンブズパーソン」としていくことが必要です。
一時保護に際し、子どもの意見表明権を保障するしくみと、保護者の意見や考えが表明できる機関としてはいかがでしょうか。ご見解を伺います。
所長答弁:子どもの安全を最優先に説明、対応に努めている。 6月8日の改訂児童福祉法では、司法審査が導入された。運用は今後示される。子どもの利益を最大に考えていく。
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これらの答弁を聞いて以下意見を述べました。
児童相談所は、職権で保護することができるという強大な権力を行使できる機関です。
この度の児童福祉法の改正では司法の判断が入りましたが、司法は児相側の意見のみ聞きます。当事者の意見を聞かずに判断することになり、十分なものではありません。
江戸川区の子どもの権利ほっとラインが、第三者機関として十分に機能が発揮できるよう、子どもオンブズパーソン制度の機能を拡充し、一時保護の際にも活用できるよう要望します。
なお、藤原先生の書籍はこちらです。