働くみんなが経営者 ー 労働者協同組合法 ー について議会質問しました。本会議質問①
「働くみんなが経営者」という運営方法をご存じでしょうか。
主にワーカーズコープ、ワーカーズコレクティブがその働き方の実践をしてきました。
私は、今の議員という役割をいただく前には、
ワーカーズの代表をしておりました。
代表と言っても、ワーカーズですから、対外的な対応をする連絡係です。
働くにあたって、出資(正確には入会金と年会費)し、みんなで運営方法を考えて、みんなで働いてきました。
同じ事業を行っている都内の仲間は、34自治体にあり、毎月1回、代表者同士が集まって、情報の共有をしてきました。
そこで言われてきたのは、
「経済至上主義とは対岸にあるのがわたしたちなんだ」
ということです。
なかなか理解ができなかったのですが、
かんたんに言えば、
「自分たちの生活がより良くなるために必要なことを生み出す活動。運営方法は一人1票をもつ自分たちが納得した方法で行う。」
ことです。
この新型コロナウィルスで、社会がとても変化してしまった時でも、みんなで話し合いながら乗り切っていく。
そんな運営方法だと思っています。
そして、やっと昨年12月、私たちの働き方が、法律で認められたのです。
そこで議会質問しました。
質問文は以下の通りです。
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現在、新型コロナウイルスの感染拡大は落ち着いてきたものの、非正規雇用など弱い立場におかれている働く人は、雇用の継続がされないなど、これまでよりさらに厳しい状態となり、その課題も表面化しました。
おりしも、昨年12月、「労働者協同組合法」いわゆる「ワーカーズ法」が、議員立法として、全会一致で成立しました。施行は来年10月となります。
この法律が成立することによって、日本でも、志を同じくする仲間が出資しあい、事業を起こし、みんなで経営をしながら、みんなの意見を反映させ、共に働くということが法的に保障されることになったわけです。
この組織形態で働く人たちは、全国で10万人と言われています。主に、ワーカーズコープやワーカーズ・コレクティブと呼ばれる事業体が活動してきました。地域課題の解決のために必要な事業を生み出し、主体的に働くことで地域に貢献する職種は、介護、配食、運送など多岐に渡っています。しかし、適した法人格が存在しなかったため、多くは企業組合、あるいはNPO法人格を選択せざるを得ませんでした。区内にもワーカーズは6つの事業体があります。
運営の特徴はこれまでの一般的な雇用主、使用人という関係がないことです。名称により、労働組合と誤解を受けることもありますが、雇用契約を結ぶものの、雇い、雇われるという関係を超えた協働労働という、新しい運営方法をとる働き方です。
金銭的価値が重要視される経済至上主義の社会から、お互いの違いを尊重し、誰もが参加できる持続可能な社会へとシフトしていくにあたっても期待される働き方です。協働労働は、弱い立場の働き方を迫られてきた方にとっても、新たな希望が持てるものであり、世界的な流れである、働きがいのある人間らしい仕事、「ディーセント・ワーク」にもつながると考えます。
そこで3点お聞きします。
まず、1点目です。
この労働者協同組合法についての区長のご所見をお聞かせください。
2点目は、労働者協同組合法に基づく法人は、事業を行う法人という意味合いだけでなく、地域づくりにも有効な側面を持ちます。後継者不足などの課題解決にもつながることから産業経済部に、介護や、障害者福祉、子育て分野に係る事業も行うことから福祉部や子ども家庭部または、文化共育部にもかかわります。
また、広島県では、2014年度より、協働労働プラットフォーム事業を実施しており、市民への周知活動も兼ね、60歳以上の働く場としての活動も展開しています。おそらくかかわらない部署はないかと考えます。
そこで、全庁的に理解を深めていくことが必要だと考えますが、職員への理解、区民への理解を促すことについてはいかがお考えでしょうか。伺います。
3点目は、区民から起業についての相談等が寄せられたときに、NPO法人などと並んで、ワーカーズ法に基づく法人格があることを示していただきたいものです。中心となって対応する部署を決めておく必要があるのではないかと考えますが、その点はいかがでしょうか。伺います。
区長からの答弁は
1点目
メリットとしては、企業に雇われずに同じ活動を志す仲間が支えあいながら働く労働形態だとおもっている。仕事を通じてやりがいや労働への満足感を得ることが期待できる。
課題は、経営と労働が一体となっているために、自らの利益が相反することがあるのではないか。労働者保護が軽んじられる懸念があるということ。ただ、現在、厚生労働省の中で対策を検討中と聞いたいるのでこの課題も解決されると思う。
区でも、ワーカーズコープに共育プラザ平井、児童相談所の夜間電話相談も受けていただいているところ。
法律が施行されることで、実態に合った多様な働き方が保障される、選択肢が増えるものだと考えている。地域における多様な需要、課題に応じた事業の実施がなお一層促進されると期待。
2点目
職員への理解、区民への理解を促すことについては、あらゆる部署が関係をしてくると認識。
来年の10月の施行にむけて、国や都で準備が進められている。国では、政省令を検討、東京都においても担当部署は今協議中である。それらと連携してこの法律の理解促進に努めてまいりたい。
3点目
相談部署について、起業の相談については産業振興課で対応していきたい。
ということでした。
そこで、以下の意見を言い置きました。
まだまだこれからのことも多いかと思いますが、
サスティナブルな社会という言葉も、だいぶ浸透してきたように感じます。働き甲斐も経済成長もというSDGsの目標もあります。
メンタルの問題を抱えて仕事をしている方や、自殺者は増えており、医療費の増大にもつながります。こうした課題の解決にもつながります。
NPO人についても、できたばかりの時は、ボランティアという誤解を受けることが多くありました。協働労働という働き方を実践してきた団体もありますので、施行までに理解を深めていただくようお願いします。