江戸川区の税金の使い方をチェック! 第3回区議会定例会 決算特別委員会

2020年第3回区議会定例会は9月17日に開会、10月22日に閉会しました。

毎年、議会が終わったと思うと、いつの間にか、日が短くなっており、季節が夏から秋に変わっています。

「2019年度の税金の使い方はどうであったのか?」ということを審査する決算特別委員会がありました。

歳入歳出決算書、歳入歳出決算概要説明書、主要施策の成果、決算審査意見書、財務諸表・財務レポートなどを参考にしながら、予算が計画的に、そして効果的に使われたのかをみていきます。

3人会派となったので、1日の持ち時間は15分運用時間は18分でした。

 

以下主な意見です。

歳入歳出

〇特別区税            前年度の収入で当年度の区民税が決定される。収入減などの際には区民に寄り添って欲しい。

〇手数料                江戸川区のHPでの見せ方を分かり易くする。全ての手数料を一か所にまとめ、関係部の説明ページにリンクする。

〇財政状況            コロナで歳入が減り、国・都からの補助は全歳入の67%、対し増加する福祉費その他、予算の慎重な再編成が必要。他区では予算の新しい在り方が審議されている。

〇国民健康保険 コロナによる保険料の減免はフリーランスも減免対象に

〇介護保険 ケアラーのバトンとして、介護者に何かあった場合でも、被介護者の生活が維持できるよう書式の整備を。

〇特別養護老人ホームの申込と入所となる順番について 1か所での申し込み可能となった。在宅生活が厳しい方から入所ができるよう、ケアマネの所見欄を。

〇総合事業 要介護者への総合事業の提供はすべきではない。ケアプラン有料化は反対。

 

経営企画費

〇共生社会ビジョン            マトリックス分析をすること。共生社会に向けて外国人などのマイノリティまで意見を取りに行くことを。

〇外国人代表者会              外国人は町会に入らない、自らまとまらないため、彼らの意見を聞くには行政から手を差し伸べる。

〇人口等基礎分析                分析結果は一つではないはず。起点、基準、視点と戦略を変えれば結果が変わる。

〇情報推進            ITはとても重要な役割。行政全体の情報政策費が見えない。区全体の情報を連携し、区長室の大きな画面でリアルタイムで財政の動きが見られるようにする。提案型のITになって欲しい。

〇RPA導入のブラックボックス       RPA選定は1業者だけで進めてしまっている。なぜその業者か説明もない。3~6社比較し、最良を選定すべき。

〇データセンター管理        データセンターの電気使用量が庁舎の半分は高すぎないか。電気契約、電力自由化への参加有無のチェックを。

〇本区ホームページ            ホームページの技術と見栄えは古すぎる。最新技術を使った、使いやすい、見やすい、マルチデバイス・多言語対応したHPを作るべき。

〇共生映像広報    外国人の入れ替わりが激しく、生活のルールを知らないため隣人とのトラブルが多い。生活のマナーなどの動画を多言語で作り、各外国人コミュニティにPRすべき。

〇新庁舎建設推進費            意見募集していることや情報提供をわかりやすく。グリーンロードの維持を。

〇新庁舎建設基本構想・基本計画策定委員会              基本構想委員会に一般職員代表を含むべき。

 

危機管理費

〇粉ミルク、液体ミルクの配布について        乳児への一律の配布は避け、災害時には母乳育児支援の観点を。

〇災害ダッシュボード        気象、避難所・物資、交通など総合的な情報のダッシュボードを構築し、本区HPにその情報を展開し、区民がどこからでも閲覧できるようにする。

〇避難所の運営    避難所の開設と運営における課題への対応と、避難前・中・後の行動について詳しい指示を出すべき。

 

総務費

〇情報公開制度について    訴訟案件からの情報公開の在り方、情報公開・個人情報保護審議会の設置を。

〇ストレスチェック・研修                ストレス中と判断された職員は10%以上。職員のストレスをなくす取り組みを。精神的に強くなる研修の工夫。

〇臨時職員            臨時職員に生活保護受給者の活用を。そして、臨時職員の正規職員への転換を。

 

文化共育費

〇指定管理者のプラ削減について    大規模施設の指定管理者の選定の際には、プラを使わない業者を選んでは。

〇ジュニアリーダー            ジュニアリーダー等の募集をインド人学校や各国のコミュニティにもお知らせを

〇共育プラザ        共育プラザに、将来のモデルとなるような人とのかかわりを持つことや、身近な相談場所としての機能やツイッターで入ってきたときも柔軟な対応を。

 

生活振興費

〇商品券                区内共通商品券、プレミアム商品券、取り扱い店舗が分かりにくい。これまで以上に工夫を。

 

環境費

〇羽田空港新ルート            新ルートの運用の見直しを求めてほしい。

〇防犯カメラ        ある程度は必要だが、財政を圧迫しないように今後の計画を。

〇駅周辺の掃除    土曜の朝の駅周辺の掃除を。

〇普及啓発            集合住宅での粗大ゴミ置き去りが課題。多言語動画による周知。入居時のファイルに3Rリーフレットを含むなど。紙媒体だけではなく、若い世代に向けてアプリなどの導入を。

 

健康費

〇ハローベビー教室の充実を。繰り返しても参加できるように。週末の開催を増やす。

〇妊産婦の支援    ぴよママギフトの継続と使える先を子育て支援に拡大を。

 

福祉費

〇まもる君の緊急連絡先    在宅生活を連携して支えられるよう、ケアマネの連絡先を申込用紙に加える。

〇ヤングケアラー                ヤングケアラーは見つけにくい。研修の実施を。

〇障害者差別解消                差別解消法に向けて。及び地域で自立生活する視点を。

〇生活保護            生活保護受給者の自立支援に向けて就労支援を

〇保育の質            企業主導型の保育園も含め質の向上を。ネットワークづくりを。

〇子育てひろば    ひろばを増やし、ひと時保育の充実を。子育てひろばの人員増を。

〇女性センターでの相談件数、内容、その後の支援                女性センターの相談体制について。相談を受ける人たちに、ジェンダー平等の意識を高めるためにも、言葉遣いに特化したe-ラーニングなど研修を。

 

都市開発費

〇都市計画          どこかをモデル地区にしているか。面積、人口の面ではシンガポールが近いかも。スマートシティの導入検討。

〇生産緑地            生産緑地の今までの動向と今後の方向性

〇住宅施策            外国人の住居は探しにくい。要配慮者(年配者、障碍者など)が入りやすい住宅の動向は? 本区はゼロメートル地帯のため、集合住宅とさらちと緑を増やしシンガポールのようにQOLを上げるべき。

〇篠崎まちづくり 篠崎のまちづくりがイメージできるよう模型の作成を求める。スーパー堤防整備方針は見直しを。

 

教育費

〇SSWの増員を

〇音声教材            文字や図形などの認識が困難な児童生徒に、文科省からの音声教材の普及、推進を。

〇UDフォント     教育現場にUDフォントを。

〇男女混合名簿    ジェンダー平等の観点から、区として推奨を。

〇制服について    トランスジェンダーや感覚過敏症の子どもたちのために、「制服」についての区民の認識を変えることが必要。校長会全体でのテーマとして投げかけるなど、教育委員会として働きかけるなど、着用を望まない子どもたちが「着用したくない」と声を上げることができるように啓発を。

〇性教育                早い段階から小中学校での医師や助産師等の外部専門家を招いての性教育を。

〇文化財                一之江名主屋敷はもっとPRを

〇ストレス状態にいる教員 相談に行けるように窓口の周知と行ける時間をつくるように

〇食育    〇医学の新しい知識を持った食育を。

〇チャレンジザドリーム 学校教員について

〇進路指導について          適正と点数は一致しない。好き嫌い、向き不向きがある。定量・訂正あらゆるデータを取って進路指導を。

〇英語教育            英語教育は江戸川区全体で進めてほしい。

〇日本語学級        参加者を増やしていくことと、通いやすくするために送迎バスなどの活用を。

〇学校統廃合        少子化対策、少人数学級、増える外国人の教育などを長期目線で見てもっとやれることはあるのではないか。短期目線で学校を減らしてしまえば、あとから増やせなくなる。検討を。

 

 

以下総括意見です。

2019年度、決算審議の締めくくりに当たり、生活者ネットワーク・立憲民主党の総括意見を申し上げます。

 

先ずは、昨年秋には大型台風による広域避難勧告や被害、今年の3月には新型コロナ感染症による学校の一斉休校及び事業の休業要請と、想像もしなかった危機に直面しました。今後は、厳しい区政運営が予想されますが、昨年度においては、区債の繰り上げ償還を行うなどの、将来に負担を残さない姿勢を鑑み2019年度江戸川区一般会計歳入歳出及び各特別会計歳入歳出決算を認定いたします。特に意を用いていただきたい項目について改めて申し上げます。

 

初めに昨年度に発表された人口動態分析に基づき今後の街づくりの検討が進むと考えますが、条件設定により人口動態分析も変わることが考えられるので、一つの結果に基づき検討を進めるのではなく、自分たちの街を今後どのような街にしていくか、そのために今からどんなことをやっていくか、積極的に区民の意見を取り入れてご検討頂きたいと思います。

 

次に共生社会に向けてです。

本区においては、障害者、LGBTQなどの性的少数者、外国にルーツを持つ方がたくさん暮らしています。しかし、まだその方たちの声が行政に届きにくく、基本的な人権も保障されていない状況にあります。誰もが自分らしく暮らしていくことができる持続可能な共生社会を形成していくためには、区民の意見を募集するだけでなく、自らも出向いてよく聞くこと、そして課題を分析して、必要な施策を実施することだと考えます。障害者差別解消法の存在を知らずにいる当事者が散見されますので周知と啓発を図り、障害者や生活保護受給者へは、地域での自立支援を考え、就労につながる相談窓口や研修の機会の拡充をお願いします。

日本の生活のルールの理解不足により、ご近所の方と外国にルーツを持つ方たちとの、トラブルが増えています。集合住宅での粗大ごみの置き去りや、ごみの出し方において、特に周知が行き届いていない現状があります。外国人コミュニティの代表と話す会議体を作るなど、地域社会を円滑にすることの話し合いができる場を要望します。

子どものころから、多文化共生を理解できるように、子ども会の募集やジュニアリーダー講習会などの案内は、インド人学校や外国人コミュニティへも届けていただくようお願いします。紙媒体だけではなく、多言語による動画配信やアプリの利用など、広い層での関心や理解が深まるような周知を要望します。

 

次に熟年者についてです。

高齢になると介護保険などのサービスを利用しながら生活されている方がいらっしゃいます。関係機関の連携がスムーズに行われ、仕組みとなることで、支える側、支えられる側のストレスがともに軽減され、地域での暮らしが豊かに継続できます。

民間緊急通報システムのマモルくんの設置が進んでいますが、在宅での見守りが滞りなく行えるように、設置をする際の書式にケアマネジャーの連絡先を加える工夫が必要です。

また、ケアラーである介護者が、病気や事故などで、急に、介護の継続ができなくなったときに、被介護者が安心して生活が送れるよう、あらかじめケアラーのバトンと呼ばれる介護の継続支援について考えることができるシートをつくることを提案します。

 

次は、子育てについてです。

産婦人科の受診や妊娠届け出をせずに、生まれるという段階で病院に行くという、駆け込み出産がなくなるためには、なぜそうなってしまったのか、何が必要なのかなどを分析し、施策の検討をすすめて頂くようお願いします。

子育てに必要な知識を得る機会となるハローベビー教室は、内容、期間を充実させ、復習ができる手段の充実を図ることを要望します。安心して子育てできる環境を整えていくために、子育てひろばには支援員を置き、ベビーカーで行けるようひろばを増やすなど内容の充実を求めます。

また、「ぴよママギフト」は行政につながるきっかけともなっていますので、今後も継続して行っていただくよう要望します。そして、ギフトの使い方について、買い物だけではなく、子育て中に必要なひととき子どもを預かってもらうという一時保育や母乳マッサージ、あるいは、産後ケアなどの子育てに関連するつながりに使えるよう工夫を求めます。

なお、災害時の乳児への育児支援については、安易に人工乳に変える支援を行うのではなく、母乳育児が継続できる環境をつくるなど、女性の視点を取り入れていただくようお願いします。

様々な形態の保育施設が増えています。本区の子どもが通う施設ととらえ、区立保育園が各地域の保育施設のネットワークの中心となり、保育の質を高めるための研修の機会の提供を要望します。

 

教育の現場においては、

一人ひとりの能力に合わせた学習指導を行うために、音声教材の導入や全ての人が読みやすいと評価されているUDフォントの導入を求めます。

問題を抱えている子どものサポートを進めていくために、スクールソーシャルワーカ―の増員をこれからも進めていくことを要望します。

LGBTQについて、学校内での無意識のうちに行われている人権侵害への気づきとその解消を強く求めます。教育委員会として、混合名簿の利用を促すことや、「制服について」改めて校長会での検討を働きかけることを提案します。 感覚過敏がある子どもにも、制服着用への配慮は同様に必要です。

性教育は、人として生きていくために必要な知識であり、優先順位は高いものと考えています。すべての子どもたちに、教科書だけでは補えない部分を、医師や助産師などの専門家による性教育をしていただきたいと考えます。

ジェンダー平等の視点を、職員、市民、全ての人が持つことが大変重要だと考えます。

職員一人ひとりが、共生社会を構築するための情報を自ら発信をしていくことが求められています。 特に女性の電話相談では、相談を受ける側が、ジェンダー平等の意識を持った言葉遣いをすることが共生社会への第一歩になりますし、相談者である区民への啓発にもつながります。女性相談員、母子父子相談員や区の職員は、ジェンダー平等を意識した言葉遣いに特化したe-ラーニングや研修などを行うことを要望します。

職員自身のためにはより一層働きやすい、風通しのよい職場にしていくことが大切です。職員や教員がストレスを抱えたままで業務を行うことのないように、相談窓口やその周知を、わかりやすく行ってください。 新庁舎建設に向けては、職員自身からも働く場所としての意見が反映されるように、新庁舎建設検討委員会には、現場で区民と接する職員からも入れることを要望します。

さまざまな区政課題を解決していくためには、市民とともに歩むことが共生社会の実現につながります。区からの情報発信は、受け取る側の視点に立ちわかりやすく、使いやすいという観点を持つことを要望します。情報提供の一つの手段であるHPでは、多言語に対応することに加えて、例えば、区が発行する証明書の手数料をまとめて表示することや商品券の発行を行うのであれば、混乱がないように掲載の工夫をすること、新庁舎建設についてのニュースを発行していることをHP上でもわかりやすく表し、区民からの意見募集を、「あなたの声を区政に」というところからもアクセスできるようにリンク先を入れるなどの工夫を求めます。

情報は区民にいち早く届くことが求められます。平常時のみならず、災害時においても同様に行えるような態勢を整えておくことが必要です。その際、IT技術は重要な役割を果たします。行政全体の情報から導き出される分析は、起点、基準、視点を変えれば結果が変わります。職員又は区民からの要望を待たずに自ら改革を進める提案型のIT運用を要望します。

情報公開制度については、情報公開条例の一部改正を行ったことが、区民へはどのような影響がでたのかということを解明するためにも、また情報公開や個人情報保護制度の適切な運用を図るためにも、公開の上、住民を含む多様なメンバーが参画して諮問事項を協議する会議体である「情報公開および個人情報保護審議会」の設置を強く求めます。

市民の健康や生活環境の改善のために、羽田空港新ルートについては、大幅に本区内陸部を通過するという想定外のルートを通っており、騒音被害や落下物の心配範囲はさらに広がっています。区として、新ルートの見直しを求めることを要望します。

気候変動危機の時代の治水対策については、流域で考え、スーパー堤防と一体のまちづくりについては見直しを求めます。上篠崎地区のまちづくりは、大きく土地の形が変わるため、雨が降った時の水の流れ方もたまる場所も変わります。上篠崎地区全体の立体的な模型を作り、わかりやすい説明を求めます。

 

最後に、今後、財政収入の減少が見込まれ、行政運営が厳しくなることが予想されます。本区の財政基盤を強化していくために、人口動向、経済政策、災害対策、福祉施策などを、市民と共に再構築していくことが必要です。コロナ禍以前の社会に戻ることをめざすのではなく、ステイホームから学びを得て、SDGsを推奨し、持続可能な社会という長期的視野を持つ施策に取り組んでいただくことを要望し、生活者ネットワーク・立憲民主党の総括意見といたします。