福岡市の「こども総合相談センター」を見てきました。
福祉健康委員会では8月28日から30日まで九州に視察に行きました。
初日は福岡市の「こども総合相談センター」を視察しました。
1990年、市長の公約としてこども総合相談センターの設置があげられました。1993年よりこども総合相談センターを全市レベルの心の拠点と位置づけ、10年の歳月を経て開館に至っています。
こども総合相談センター「えがお館」では0歳から20歳までの子どもや保護者を対象に、子どもに関する様々な問題に対して、保健・福祉・教育分野から総合的・専門的な相談・支援を行なっています。
児童相談所機能である、ケースワークを担当する「こども支援課」と、心理士をおく「こども相談係」、虐待通報を受ける「こども緊急支援課」と同じフロアに教育委員会の相談部門が机を並べています。また同じ階に警察の福岡少年サポートセンターがあり、日頃の連携がなされています。
児童相談所は法的権限を行使できます。迅速に対応していくためには、高度な専門性が必要です。子どもの権利という概念が欧米に比べ不十分であり、現場に流されずに国際的なスタンダードを身に付けること、スキルを高めていくことが大切だと話されました。親や大人の都合ではなく、子どもが窮屈にならないよう、子どもにとって必要な支援を行うとの事でした。
根底に流れているのは、「子どもの権利擁護」です。
一時保護所の運営でも可能な限り個別対応をしています。閉ざされた空間にならないようにできるだけ子どもの権利があるようにしています。
例えば、乳幼児の一時保護についても、より家庭的環境に近い里親に委託しています。
里親制度の普及をするために当初は講演会方式を取っていましたが、これ以上増やすのは難しいという限界もあり、2年前より民間機関に委託し、イギリス方式のリクルート方式へと変えました。スーパーでブースを設置したり、ポスターを貼る、各戸にポスティングを行うなど積極的に行っています。
児童養護施設が満員となり里親開拓を始めましたが、今は里親が増え、年齢によっては施設は空きが出ている状況です。子どもの成長に必要である「愛着」が形成されるよう、乳児院ではなく、家庭的な環境で育つようにしています。子どもにとっての最適な環境は何かという事を常に考えていることが伺えます。この点は重要だと感じました。
福岡市にも「いちはやく(189)」という通報の番号があります。
泣き声通告があった場合、従来型の児童相談所からの安全確認が保護者に心理的ダメージを与えるため、支援型調査と位置づけ、NPOに委託し支援型家庭訪問を行なっています。もともとこうした活動をしている団体があったわけではなく、子ども関係に取り組むNPOと行政とで、ともに考え作り出したそうです。丸投げはしないそうです。
この福岡での取り組みにおいても、当初は職員が継続しないという負の連鎖があったそうです。最低3年は勤務してほしい、5年たってようやく力が発揮できるようになるが、なかなかそういった職員が育たない現状がありました。
それが、進んで社会福祉士の資格を取るなど前向きな職員がいる部署に変化したのは、専門職の経験者採用や、スーパーバイザーの存在の効果です。他職種の専門性を持った縦の連携があること、横のつながりである職員間の支え合う文化がある事により前向きにチャレンジングな雰囲気となるそうです。
一朝一夕にはできませんが、江戸川区においてもモチベーションを維持できる職場環境を作っていくことが必要だと感じました。