子どもにどう伝える? 性とからだのこと
「自分も相手も大切にする」ことから始まる包括的性教育
江戸川・生活者ネットワークの子ども部会主催で包括的性教育をテーマに、9月6日、『それゆけ!タイム 「子どもにどう伝える? 性とからだのこと」』学習会を開催しました。
その報告をいたします。

子どもにどう伝える?性とからだのこと
講師はまつしま病院で助産師として働き、ユースクリニックkukunaを立ち上げた幸﨑若菜さんです。現在は出張助産所ひらくを開設されています。
講演はまず、参加者それぞれが性教育について困っていること、悩んでいること、学校に期待することなどを書き出し、グループで話し合うことから始まりました。普段、大人同士で性について率直に話す機会は多くありません。しかし、子どもたちに何をどう伝えるのかを考えるためには、まず大人自身が学び、話し合うことが必要です。
講師からは、子どもの権利条約や「SRHR(性と生殖に関する健康と権利)」について説明がありました。自分のからだや性のあり方、妊娠・出産などについて十分な情報を得て、自分自身で決めることは、すべての人に保障されるべき権利です。性に関する問題は若者だけのものではなく、生涯を通じて私たち一人ひとりに関わる問題です。
また、若年層の予期しない妊娠や性暴力、SNSをきっかけとした子どもの被害、盗撮などの実態も紹介されました。とりわけ印象的だったのは、性暴力の被害に遭っても、誰にも相談できない子どもや若者が少なくないということです。もし子どもから被害を打ち明けられたら、まず「話してくれてありがとう」と受け止め、責めたり、根掘り葉掘り聞いたりせず、必要に応じて専門機関につなぐことが大切だと学びました。子どもに「困ったら大人に相談して」と教えるだけではなく、大人自身が「相談しても大丈夫」と思ってもらえる存在になることが大事です。

包括的性教育の国際的な指針である「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」では、関係性、人権、ジェンダー、暴力と安全、健康、人間のからだと発達など、幅広いテーマを年齢に応じて幼い頃から積み重ねて学ぶことが示されています。家庭でできることとして紹介されたのが、「自分のからだは自分のもの」という考え方です。水着や下着で隠れる部分など大切な場所を勝手に見たり触ったりさせないこと、嫌なことには「嫌」と言ってよいこと、そして人にはそれぞれ「ここまでは大丈夫」「ここからは嫌」という境界線=バウンダリーがあることを、日常の中で伝えていくことが大切です。「NO」は相手そのものを嫌いという意味ではありません。自分の気持ちを大切にすると同時に、相手の「NO」も尊重する。こうした小さな学びの積み重ねが、同意を理解し、暴力や人権侵害を防ぐことにつながります。
さらに、いじめやハラスメントを目の前にした第三者が、見て見ぬふりをせず、できる範囲で行動する「アクティブ・バイスタンダー」という考え方も紹介されました。直接止めるだけでなく、周囲に助けを求める、記録を残す、後から被害を受けた人に声をかけるなど、安全を守りながらできることがあります。
講演の最後に、「一人ひとりが大切な存在であり、自分のからだと人生は自分のもの」というメッセージをいただきました。子どもたちが安心して成長できる地域をつくるために、まず私たち大人が学び、家庭、学校、行政、地域がつながりながら、「暴力を容認しない」「安心して相談できる」環境をつくっていくことの大切さを考える学習会となりました。

