公共事業は生活を営む「ひと」のために~北小岩1丁目スーパー堤防事業の現地に立って思う

スーパー堤防の盛り土工事がすすむ北小岩1丁目東部地区

そこは、街なかに忽然と現れた更地でした。

スーパー堤防事業は、民主党政権下の事業仕分けで無駄遣いとされたものです。

それが自民党に政権がもどった途端復活されました。

江戸川・生活者ネットワークでは、8年前から、区議会や都市計画審議会などで、本事業の問題点を指摘してきました。江戸川のまちを暮らしやすいまちにしていこうと、生活クラブ運動グループの連携団体が月に1度協議する「江戸川地域協議会」に、私が福祉NPOの代表として参加していた当時から、生活者ネットからは、毎回、スーパー堤防問題についての報告があり、共有していました。昨年暮れ、篠崎で行われた「スーパー堤防集会」では、改めて公共事業による無駄遣いであることと、ひとの暮らしを大切にしない実態を再確認しました。

10日、現実にこの更地を見たとき、隣接する街並みと同じように日々の営みがあったであろうことを思い、言いようのない違和感が沸き起こりました。

どうして「ひと」が大切にされないのでしょうか?

スーパー堤防事業に反対する住民、支援者、弁護団、支援団体のみなさんとともに、この堤防事業が進む様子を見つめました。地質学の専門家は、「国はこの堤防事業の正当性を言い、国の基準を超えている工事だと言うだろうが、現実は、液状化などの危険性もあるだろう」と話されました。

堤防がつくられた後は、新しい街並みが再生されるとのことですが、すべてが同じように戻るわけではありません。

「スーパー堤防建設反対」「もったいない!税金の無駄遣い」の旗と。住民の闘いは続きます。

一方、荒川でのスーパー堤防事業計画地である平井4丁目東京電力跡地においては、大手デベロッパーがスーパー堤防化に同意せず、平地のまま開発するマンションの建設が進んでいる状況も見てきました。

これってどういうことですか?

わざわざ日々暮らしている住民がいる場所を強制的に立ち退きさせているというのに。万に一つでも有効だとしたら、江戸川よりも危険度が高く、誰も住んでいない荒川沿いのこうした場所こそを先にやったらと思います。ますますスーパー堤防事業の必要性に疑問を感じます。

整備中のところも含めて、わずか16.4㎞、14%しか進捗しておらず、このペースでならば全体の完成までに400年、費用も12兆円もかかるということです。

誰のためのスーパー堤防事業なのでしょうか?

私はやはり、公共事業は生活を営む「ひと」のためのものであってほしい。

「ひと」が大切にされれば、周りを思いやる気持ちも芽生えるし、住民意識もあがり、ポイ捨ての少ないきれいな街、人々の笑顔のあふれるふところが深い街になり、自分たちの暮らす街を自分たちで考えていく住民が増えてくるだろうと思います。

 私は、生活をする「ひと」から発信する声を拾い上げていきます。