2017年6月本会議質問2 -新川沿川整備についてー

船堀には新川という川があります。荒川と江戸川をつなぐ内河川です。

新川千本桜

私が引っ越してきた2000年当時は新川橋以東の遊歩道だけでしたが、橋が新しくかけられたり、新川千本桜計画のパンフレットが回覧板で回ってきたりと、近くに住む住民として、この整備を楽しみにしていました。

しかし一昨年の常総市で起こった浸水被害は、堤防の決壊もありましたが、内河川の氾濫もありました。そこで今回、質問に取り上げました。

以下本会議質問のやり取りです。

船堀幼稚園の正門が面している新川は、新川千本桜計画が建てられ、新川さくら館も完成し、全川でコンクリートの護岸が撤去され、遊歩道が整備されました。新しく転居してきた住民にとっては、その昔、江戸川区は雨が降るたびに水につかったということは想像すらできないほどです。

石積み。石積みがないところは、川側へと自然勾配で雨水は流れるとのこと。

しかし近年の集中豪雨により、下水道整備がなされたにもかかわらず、区内の各地で道路冠水が起きています。浸水の危険性を防ぐためには、まず下水道整備がきちんとなされることが必要です。下水道はその区域に降った雨を排水できるよう、計画をもって下水管が敷設され、私たちの生活が守られています。

新川を歩くと、遊歩道の整備の違いに気が付きます。最初に施工された新川さくら館あたりの緑地帯と車道の間には、石が2段ほど積み重ねてあり、水が道路側に流れないよう、仕切られていますが、新川橋から東側の旧江戸川水門にかけては、車道と緑地帯や歩道との間にはこのような、水をせき止める仕切りのような石組みはありません。

新川橋から東側の整備について、委託された設計業者の報告書では排水を考えた設計がなされていますが、実際に工事を発注したときには住宅側に水が流れるように設計変更がなされていました。

①なぜ新川橋から東水門までは、当初の設計を変更したのか、理由をお聞きします。

答弁:緑地帯と車道の間の石積みの高さが、変更されて下がったこと。雨水を道路側に流した理由は、車道幅員を含めた整備内容について、地域の住民の方と長い年月をかけて幾度も協議を重ねて、沿道からの車出入り時の有効幅員の確保、遊歩道からの出入りの安全性や利便性さらには景観性、経済性を総合的に判断をして、従前にくらべ石積みの高さを下げることにした。緑地帯に降った雨の排水は道路側で処理をしている状況。

新川の護岸はもともとコンクリートの壁で住宅側と仕切られ、それが境となり、新川河川に流れる雨と、住宅側のマンホールに入る雨とに、分けられていました。しかし設計変更により、現状では本来新川に流れるはずの雨水が、住宅側の下水管に流れ込んでいます。

②下水道は東京都が管理していますが、設計を変更し、下水管に流れ込む水の量が増加することになったことについて、事前に都と協議したうえでこの工事を行ったのでしょうか。お伺いします。

答弁:公共下水道への影響は現在下水道局と協議を重ねている。

区は内水氾濫を防ぐ対策に力を入れているところであり、土嚢ステーションを設置したり、住民にも雨水ますの上に物を置かないでと呼びかけたりしています。しかし、変更後に整備された石組みのないところでは、緑地帯は緩やかな傾斜となり、強い雨になると土や葉も一緒に流れでて、雨水ますを詰まらせる原因にもなりえます。30年前に比べて、1時間50ミリを超える降雨は2倍近くに増加しています。北葛西や西葛西では道路冠水が起き、その後下水道の再整備がなされる状況にもなりました。

③新川遊歩道においては、内水氾濫を誘発する可能性を高めかねない整備であったとも言えます。この点について、どのような認識の下で、事業をすすめたのか、また、地域住民への理解を求めてきたのか、伺います。

答弁:当該区間の整備後、大雨の際の現場確認などを具体的に行っている。8月2日の新川地下駐車場の雨量計で時間当たり59ミリの雨量を観測したが、この際に、しっかりと点検確認をしたが特段の問題は発生していない。このことから整備内容が内水氾濫の可能性を高めるとはならないと考えている。住民の方ご要望をお聞きし、それらを取り入れた整備内容なので、住民の方のご理解は得て整備を行ったと認識している。

石積みが低くなっている。カーブミラーの根元の土もえぐられている。

再質問

まるで問題ないかのご答弁でしたが、ここに区の認識の甘さがあるのではないかということでの質問です。行政サービスを行うにあたり手続きは、順守しなくてはならないもので看過できません。設計変更により排水量が増える場合には、東京都との事前の協議を持つことになっています。

④今、協議中ということは、工事の前にはなされていないということですか。再度お聞きします。

答弁:下水道局との協議は事前に、施工前の協議は具体的には行っていない。現在この影響等について確認している。

住民の方の意見をよく聞くことは必要です。しかしその工事によって、これまでよりも多くの雨水が下水管に入り、下水道に負荷をかけて内水氾濫の危険性が高まることはあってはならないことです。住民の方からの緑地帯と道路の間に段差がつかないようにという要望があったとしても、その段差が、下水管に流れ込む雨水の量が多くならないようにしていることをしっかりと伝える必要があったのではないでしょうか。

この工事により雨水桝が詰まる可能性についてもきちんと説明すべきです。

⑤住民への説明において、こういった説明はなされたのでしょうか。お聞きします。

答弁:大きな下水道への負荷がかかる認識はないし、そのような内容ではないのでそのような説明はしていない。

東京都と協議しているのであれば現状のままでは流れ込む雨水が多くなっていますが、2段石組みを復活することや、雨水貯留槽などが考えられますが、区としてはどのような対策を講じるおつもりでしょうか。 

答弁:下水道に大きく負荷をかける内容とは認識していないので特段の対策は考えていない

意見

やはり、これまでの護岸があったところでの排水計画を守り、下水道に余分な負荷をかけないことが必要です。区はこれまで、北小岩においては過去に水害がないことや川の地形・流下能力などに十分な余裕があるにもかかわらず、「自然災害では何が起きるかわからない」とスーパー堤防事業を進めてきました。この新川整備において、「ここ数年冠水は起きていないし、下水管に十分な余剰があるから大丈夫」というのでは、区の水害防止に対する基本的な考えに統一性がないことになります。こういう姿勢は改めるべきですし、専門的な事柄であっても、住民の方々には、わかりやすく正確な情報を伝え、水防対策に理解を求めるべきです。

東京都との協議が成立したら、周辺の住民の方々に、どのような協議がなされ、どのような結果となったのかはしっかりと知らせていただくこと、そして、今後はこのようなことのないように、事前に十分な調整をしていただくよう要望します。