庄内の取り組みその② ~エネルギーの地産地消~

もう1つの視察項目はエネルギー政策です。

卒原発の実現可能性を目からも感じられる風力発電。

酒田市では海岸線に何基もの風力発電が並んでいました。

原発に頼らない電気を作る事の可能性を目で見る事ができます。

「電気を何で作るのか」は自治体の施策で変えて行くこともできると感じました。

山形県では卒原発に向けて歩んでいます。

3.11の東日本大震災では山形県は丸一日電力の供給がストップしました。オール電化の家は寒さに凍えたそうです。

3つの浄化槽があります。

エネルギー供給を他県に依存しているリスクを認識し、生活に必要なエネルギーは地域で作る流れとなりました。

震災の1年前に、再生可能エネルギーのポテンシャル調査もなされており、山形県のエネルギー戦略(2012年3月策定)として、原発1基分である100万kWを2030年までに開発することが目標とされています。

はじめに、鶴岡浄化センターで行われている消化ガス発電事業を見てきました。

鶴岡市の下水道は分流式です。汚泥を処理するときに発生するメタンガスを活用し発電をしています。

バイオマスパワーの案内看板

 

消化ガス発電はコストがかかり設備投資を回収することが困難でしたが、固定買取制度(FIT制度)が2012年7月に始まったことにより、事業として成り立ちました。

公募型プロポーザル方式により、水ingが発電事業者として選定されました。

自己資金で発電設備を整備し、鶴岡市より消化ガスを購入し、発電を行い、電気事業者に売ります。電気代を得て、消化ガス購入のほか土地賃借料、温水の供給を鶴岡市に行います。事業期間は2015年10月1日より、2035年9月30日までです。

消化ガスの発生が一定ではないため、発電機を12台設置し、調整を行っています。夏は10台を切るときもあり、それに合わせてオーバーホールをしています。発生するガスを全量発電に使っており、あと2台増設が可能です。現在は25kWを12台設置しています。

年間約約200万kWh、一般家庭の約560世帯分の電気が賄えます。

課題はこれから人口減少に向かうなどの社会情勢の変化に対応できるよう、他の地域からの下水の集約、し尿処理など他事業・施設との連携の可能性評価を行い、安定供給に向けた取り組みをします。

また発酵促進剤を入れた場合の実験も1月から行っています。

発電に伴う熱は、発酵のために50%使用していますが、残りの50%を有効活用するためにこの秋より国の補助をもらいビニルハウスをたて、農作物を栽培予定です。また田んぼも作る予定とのことでした。

 

次に、水道用水供給事業を利用した小水力発電を視察しました。

庄内の水道は、月山ダムを水源として朝日浄水場で水道水をつくり、鶴岡市、庄内町、三川町に供給しています。朝日浄水場から各市町の配水池までの落差と送水流量を利用して発電をしています。

パネルの写真がフランシス水車。

万が一水車発電機が故障して停止した場合でも自動的に送水ルートを切り替え、水道水の供給を継続できます。

既設の量水所と同じくらいの大きさの建屋で、非常に効率よく発電していました。年間約160万kWの発電量です。一般世帯500戸分の年間消費電力量です。

 

 

みはらしの丘上山発電所。この写真の10倍の太陽光パネルが設置されている。

もう一か所、太陽光で発電する、みはらしの丘上山発電所も見てきました。冬は雪が降るため、雪かきが必要とのことでした。年間約120万kWhの発電量です。

一般家庭約380世帯分が賄えます。

こうした小さな取り組みがたくさんあることで、卒原発を実現できると感じました。