女性の貧困  ~その原因は?~  

和光大学の教授、ジャーナリストの、竹信三恵子さんのお話を聞いてきました。

宝塚の男役をほうふつさせる、かっこいい大人女子です。

講師の竹信三恵子さん

講師の竹信三恵子さん

私は、これまで、なぜ、介護労働や保育に携わる人の賃金が低いのか、どうして正当に評価されずにいるのかと思い、「子育て介護は社会の仕事」と声を上げてきました。

介護保険が始まり、無償の家事労働に光が当たったことを感じましたが、今回の介護保険の改正による、生活援助を介護保険から外して、ボランティアに任せるという流れは、ともすれば逆戻りとなります。

今日のお話は「家事ハラ」です。

「家事ハラ」とは、家事労働ハラスメントのことで、家事労働を蔑視・排除することで女性の貧困と過労死を生み出す社会構造による嫌がらせのことです。

日本の女性の今を3つの指標で示してくださいました。

日本の順位は、全109か国中、健康で文化的な生活を送っているかという指標である「人間開発指数HDI」は10位、女性の政治参加や経済界における活躍、意思決定に参加できるかどうかを表す「ジェンダー・エンパワメント指数 GEM」は57位、社会進出における男女格差を示す「ジェンダー・ギャップ指数 GGI」は101位。

日本は基本的なものは豊かなのに男女差がとても大きい社会であるということ、意思決定するところへの女性の参加も進んでいない。そして単身女性の貧困率は高いということです。

1986年に男女雇用機会均等法が施行されましたが、この均等法は女性保護が撤廃されたというもの。同じように働けということ。同じように働くなら育児や介護を誰かにやってもらうのだが、そのやってもらうところがないから、やめてパートを選ぶしかない。夫に扶養されているから、家事の片手間だから安くても不安定でも問題はないでしょうということで、パートで働く場合、その賃金が低く抑えられている。よってワーキングプアが進むということです。

また、1985年当時は女性の7割が正社員でしたが、2012年では45.5%となっています。女性の正社員は少数派となっているとのこと。パートでは労働権を行使できないし、賃金交渉もできない。女々間格差がついている状態になっているということです。

 

竹信さんは、産業構造の変化を見極められなかったことに原因があるとおっしゃいます。

多くの会社が海外に拠点を移し、産業の空洞化が起こり、サービス産業が残ったのです。この10年の就業増減からも、全産業で女性は104万人増加、一方男性は109万人の減。就業者の職業は建設業、製造業が減り、増加しているのは医療福祉分野です。しかし、そこには税金が回っていない状況。介護報酬の切り下げ、保育士や介護職員の処遇は低いままです。

それは女性の国会議席数が日本は11.3%と低いことも要因です。190か国中163位。クオータ制度を入れているところは福祉予算が増えているそうです。またマスメディアの仕事に就いている女性比率の低さも関係しているとのことでした。

スウェーデンは1960年代労働力が足りなくなり、女性が進出し、税金の使い道も子育て介護に流れたそうです。日本では子育て介護に予算をというと、識者は財政難といいます。それなのにオリンピックの競技場には莫大なお金をつけます。ここに矛盾がある。矛盾を知らせるマスメディアの役割はどうなっているのか? とおっしゃっていました。

オランダでは短い時間しか働けなくてもきちんと賃金が入るようにし、保育園が足りないことを、労働時間を短くするということで調整をしたとのことです。

長時間労働で過労死する、働いても働いても、豊かになれないなんてこと、もう終わりにしたいですね。

やはり女性が政策決定の場に出ていくことが必要だと思いました。

議会にはクオータ制を!

 

ちなみに江戸川区議会は44名定数、うち11名が女性です。

クオータというのは割当てを意味することばです。クウォーター(4分の1)とは異なります。OECD諸国の中でダントツ最下位の日本の国会の女性議員が占める割合9.5%に比べ、江戸川区は高いとも言えますが、割当てを決め、さらに進めていく必要があります。