流域自治体として河川行政への主体的な関わりを~第4回区議会定例会報告②

2015年12月13日 20時40分 | カテゴリー: 活動報告

 一般質問では、流域自治体が考えるべき河川行政のあり方についても取り上げました。質問文と答弁は以下のとおりです。

  紆余曲折を経て建設されることになった八ツ場ダムを先月、視察してまいりました。本体工事に着手したとはいえ、今も数軒の方々が静かに生活を営み、わずかに残った田んぼでは、今年で最後になるかもしれない稲の刈取りが終わっていました。一方、住民が新たな暮らしをおくる代替地は、30mから50mの高い盛り土による人口造成地が大半を占めますが、切り土のところもあり、盛り土ではなく切り土への移転を希望する方が多いと伺いました。盛り土は地すべりの危険性や有害な鉄鋼スラグの使用が問題となっているからです。また、財源がひっ迫する中、ダム湖掘削の深さを縮めたり、樹木のすべてを伐採をしないなど、予算上でも計画通りにすすまない、現在の大型公共事業の問題も目の当たりにしました。

 河川行政では、これまで「ダム」による洪水調節機能が最重要視され、日本各地には3000ものダムがつくられてきました。しかし、9月の大雨で決壊した鬼怒川上流には、4つの大規模ダムがありながら、それが十分機能しなかったことが明らかになりました。ダムによる洪水調節は困難を極め、それがたとえ機能したとしても、他の場所で雨量が急増すれば、中下流域では氾濫の危険にさらされます。また、鬼怒川下流部では流下能力が大幅に不足している区間が放置され、堤防の漏水が下流部の各所で発生しました。河川行政のあり方については、流域自治体も、流域住民を守るために、より主体的に関わりを持つべきではないかと考えます。そこで伺います。区内を流れる荒川及び江戸川両河川において、流下能力が不足している区間がどの程度残されているのか。また、鬼怒川で問題になった堤防の浸透対策が必要な区間が、両河川においてどの程度あって、その対策の実施がどの程度進んでいるのか、2つの河川全川の数字と、区内での数字についてお聞かせください。

土木部長答弁:荒川整備計画は策定中で、原案が先般公表されたところ。荒川については、流下能力不足は26年3月末で、全体180.7㎞のうち、76.5㎞。浸透浸食対策は、それぞれ何キロ地点から何キロ地点となっていて合計いくらというのはない。利根川水系の江戸川は、25年5月に国土交通省関東地方整備局河川整備計画を策定している。堤防断面不足は、22年3月末現在全体134㎞のうち、54.4㎞。浸透安全性が必要なところは19年3月時点の資料で63㎞。区内においてどれくらいというのは示されてない。 

  観測記録を塗り替えるような豪雨は、また明日にでも起きるかもしれません。水害に備えるためには、局所的に行う超過洪水対策では逆に周辺にリスクを生み出しかねません。今ある堤防の危険箇所を最優先に、すみやかに確実に強化堤防をつなげていく必要があると考えます。10年に1度の洪水確率への対応さえできていなかった鬼怒川の決壊地点に、新たにつくられる堤防は、遮水シートやコンクリートブロック、鋼矢板を用い、排水設備も設置することが発表されました。この工法は漏水・浸透に有効であるとして各地で採用されています。現場ではすでに土だけではない堤防を、有効な技術として導入しており、国交省が未だ「土堤原則」を持ち出すことは何とも不可解です。都心においては、特別に「高規格堤防」整備が示されていますが、今回の教訓に照らせば、いつ完成するか、いくらかかるのかもわからず、事業者の意向によっては断念せざるをえない状況では持続可能とは言えず、特に市街化された首都圏流域での連続性は望めないのではないかと懸念します。洪水の影響を受けるのは流域住民です。国の意向を受けるだけでなく、どの工法がより効果的に住民を守るのか、流域自治体として改めて考えるべきではないでしょうか。堤防決壊という事実を受け、一級河川を抱える江戸川区としてのお考えを伺います。

 区長答弁:治水への対応は国家の大事業。一気にできない。八ッ場も半世紀かかっている。現場で紆余曲折しながら、克服してできる。すんなりは難しい。どういう方法であれ貫徹していかなくてはならない。長い期間をかけて国策として、国土だけではなく住民もまもるため、早期に完成するためにできうることをできるだけ早くやる。主体的に考えるのは、治水に専門的知見を持っているわけではない。国家が責任を持って最良の方法を見つけてもらって、私たちは協力をする。国のやりかたにダメだというのはそれだけの知見を持たなくてはならない。持ちえない。主体性を持つのは不可能。常総市のコメントで、中央大学の山田先生、問題のある個所は5000ヵ所と。いろんな意見はあるが国の責任を早く果たしてもらいたい。 

  今回の答弁で、区は、区内河川の堤防整備率を把握していないということがわかりました。示されたデータが平成18年度のものもあったことにも驚きました。

 国の事業であっても、区として、区内の整備率がどの程度かを把握することが必要です。限りある予算の中で、決壊しない、あるいは、決壊に至る時間を引き延ばす堤防を、すみやかにつなげていくことが重要であること、30年近く前に考案された高規格堤防はひとつの工法であると受け止め、今、それがベストな選択かどうか、自治体として再考するよう要望しました。