2025年決算特別委員会

気が付けば夏は終わっていました。

日暮れ時間も早くなり、外は真っ暗です。

この時期はいつも季節の感覚がなくなります。

なぜかと言えば、第3回区議会定例会は決算特別委員会があるからです。

 

遅くなりましたが、決算特別委員会での超党会派えどがわの総括を掲載します。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

令和6年度江戸川区一般会計および各特別会計の歳入歳出決算審査を通じ、超党会派えどがわを代表して総括意見を申し上げます。慎重な審査の結果、令和6年度決算を認定いたします。区民や関係団体の意見を踏まえ、「共に生きる、誰一人取り残さない江戸川区政」を推進し、一人ひとりの声を行政運営やサービスの拡充に生かしていただきたいと思います。

 

本区は特別区財政調整交付金や国庫支出金への依存度が極めて高く、財政健全化判断比率における、実質公債費比率はマイナス4.2%、また、経常収支比率は73%と健全な水準を維持していますが、景気変動や法人税配分の影響を受けやすい脆弱な財源構造です。健全財政を保ちながらも楽観せず、「出ずるを量りて入るを制す」堅実な財政運営の継続が求められます。

また、将来世代に過度な負担を残してはなりません。人への投資は未来への投資であり、少子化による人口減少は税収や行政サービスの継続性に直結します。区民が理解し共感できる区政運営のもと、福祉、教育、医療・介護、まちづくりを一体的に進め、誰もが暮らし続けたいと思える共生社会の実現を期待します。

 

 

危機管理費についてです。自営通信網・災害時防災カメラについて申し上げます。二か年にわたる設置工事の進捗状況について伺いました。本システムは、震度7クラスの地震や大規模水害など、通信網が途絶する事態を想定し、約200か所に設置される高所カメラや、今後導入予定のドローンによって被災状況を把握するものです。イニシャルコストだけでも40億円を超える莫大な税金が投入された超高額な防災カメラであり、令和7年度には概ね整備が完了する予定です。大災害時の活用に加え、犯罪抑止や高齢者捜索などAI技術を活用した地域の安全対策への活用も提案しました。

 

文化共育費についてです。姉妹都市交流事業におけるホノルル視察については、区民や議会への丁寧な説明が求められます。区議会議員数名と区長、副区長、行政職員が現地でどのような意見交換を行い、ホノルルフェスティバル以外にどのような施設や団体を視察したのか、その内容を委員会等で必ず報告すべきです。視察の成果や今後の連携の方向性を区民に分かりやすく示すとともに、SNS上でも費用や目的に対する疑問の声が寄せられている点を重く受け止めるべきだと意見を述べました。今後の動向をしっかりと注視してまいります。

 

生活振興費についてです。

 

地区会館のLED化について、蛍光灯の製造が2026年1月1日から順次終了します。

会館使用に不都合が出ないよう早期に計画的に取替を行うこと、合わせて利用している区

民に早めに知らせるよう要望します。

 

産業振興費についてです。

 

えどペイ事業の運営経費およびアプリ開発費、その計上年度について伺いました。今年度からはPayPayに集約され、わずか1年余りで廃止となった経緯から、採算性や費用対効果に疑問が残ること、また短期間で終了したことは区民の理解を得にくい税金の使い方であることを指摘し、今後は地域限定アプリの開発をより慎重に進めるべきと意見を述べました。さらに、広報等におけるえどペイ廃止の案内が不十分なため、誤解を招かぬよう速やかな情報修正を求めました。

 

また、金魚ノートの制作にあたり、掲載写真の品質やデザインに課題があるため、子供達が手にする冊子としてふさわしい美しさと文化水準を備えた、よりデザイン性の高い制作物を作成するよう求めました。現状の費用でも十分に可能であると考えます。

 

 

次に、環境費についてです。

 

気候変動に備えることに関してです。

脱炭素を目指す、特にポータブル蓄電池の購入補助については、予算に対し30%を超える執行状況であり、区民から高い需要がある事業です。気候変動に対する効果だけでなく、災害レジリエンスにも効果が高いと考えられます。また、ポータブル蓄電池のうち携帯型太陽光パネルが付いているものは単価が高い傾向にあるため、件数および単価ともに予算の増加を求めます。

 

 

オープンハウス説明会についてです。

江戸川区総合レクリエーション公園のリニューアルでは、3か所で説明会が行われましたが、完成後も多くの意見が寄せられています。計画段階での意見募集の欠如や説明期間の短さから、区民の声が十分に反映されたのか疑問の声があります。20年続くP-PFI事業では世代交代も見込まれるため、QRコードによるアンケートだけでなく、対面での意見交換会の開催を求めます。

 

リユース食器についてです。

お祭りやイベントでは、ごみ集積所を「リサイクルステーション」として可燃・不燃・缶・びん・ペットボトルに分別回収し、「リユース食器」も導入されました。スポンサー名入りのカップ600個が企業寄付で製作されましたが、多くが破損や持ち帰りで残りわずかです。リユース食器の意義やごみ削減効果の周知が不足しており、参加者の意識向上やマイ食器持参の促進など、仕組みづくりが重要です。

 

清掃事業についてです。

事業従事者の労働環境改善と廃棄物処理の適正化は重要です。特に夏季の屋外作業が多い清掃現場では、熱中症対策として飲料水や経口補水液を常備し、水分補給体制を強化すべきです。令和7年6月施行の改正労働安全衛生規則により対策が義務化され、従事者の健康と事業の持続可能性向上が期待されます。

 

 

次に、福祉費についてです。

 

「中サービス―中負担」を理由として、子ども食堂への補助金終了予定が公表されました。これに対し、「えどがわっ子食堂ネットワーク」や各子ども食堂からは、補助金の継続を求める意見が提出されました。区は、世代を超えた交流と食を通じた自立支援を条件とする提案を行いましたが、多くの食堂ではすでに多世代交流が実践されており、「食を通じた自立」の具体的な内容も不明確です。行政は各食堂の実情を把握し、現場との対話を通じて支援の在り方を再検討すべきだと考えます。

 

都市開発費についてです。

 

耐震補強に関してです。

都は震度6強以上で全壊する本区の木造住宅が6,300件超と推計しています。昨年度、戸建て住宅の耐震改修費補助が50万円引き上げられましたが、建築費高騰の中では十分とは言えません。老朽集合住宅の耐震化も遅れ、改修例はわずか1件です。区分所有法改正で建替え合意は容易になりましたが、費用負担の課題は残ります。戸建て・集合住宅問わず補助上限の大幅引き上げや仮住まい無償提供など制度拡充を求めます。

 

荷捌きスペース不足についてです。

「駐車場法施行令の一部改正」により、共同住宅の荷捌きスペース不足の解消が一層進めやすくなることを確認しました。船堀駅や小岩駅周辺における高層住宅の増加を踏まえ、今後も共同住宅の荷捌き場整備を積極的に推進するよう要望しました。

 

水害対策に関して、

近年、多発する気候危機による突然のゲリラ豪雨は、浸水の危険性を高めており、水害に弱いと言われる私たちの街にとって大きな脅威です。

本区の住宅等整備基準条例では、一定規模以上の建築物に対して、下水道への雨水流入のピークをずらす雨水流出抑制施設の設置を義務付けています。

これをさらに進めるため、墨田区の雨水利用の取り組みを参考にし、本区の条例適用対象である300㎡以上の建築物において、雨水の貯留や浸透の整備を一層促進するよう要望します。

 

 

土木費についてです。

 

新川地下駐車場について、ナンバー認証の不具合改善や、横幅2m以上の高級外国車の利用条件緩和など、より多くの江戸川区民が利用しやすい駐車環境の整備について要望しました。また、9月の三重県四日市市でのゲリラ豪雨による駐車場浸水被害を踏まえ、止水板の緊急設置に関する課題の早期解決を求めました。

 

水害対策に関して、

道路の冠水は、同じ場所で繰り返し起こる傾向があります。また、記録的な短時間大雨も増加しています。流域計画上では必要な対策が満たされているとされていますが、区内の浸水被害を防ぐために、道路や公園の地下に雨水を貯める施設の新設を検討し、実施することを要望します。

 

土嚢ステーションは有効ですが、高齢化が進む中で土嚢の運搬が難しくなっています。そこで、止水板の設置に対する補助を講じていただきたいです。

また、今後の区画整理事業と連携した高規格堤防事業の見直しも求めます。

 

 

最後に、教育費についてです。

 

中学校の部活動における外部指導員の活用と地域移行について伺いました。教員の負担軽減策として外部講師の導入が進められていますが、安定的に指導できる人材の確保は容易でなく、多くの課題があります。部活動指導を望む教員もいる中で、働き方改革により勤務時間が制限されている現状を踏まえ、外部講師への報酬よりも教員の処遇改善こそ優先すべきと申し上げました。安易な地域移行は現実と乖離しており、解決策とはなりえません。

 

また、学校の統廃合については、校舎改築工事の入札不調が続き、学校改築計画は大きな転機を迎えています。20年前は出生数約7,000人でしたが、現在は約4,000人に減少し、今後さらに3,000人台に減る見込みです。社会情勢の大きな変化を踏まえ、学校の統廃合は不可避であり、改築計画そのものを見直す時期に来ています。数字ありきの計画ではなく、人口推計をもとに精査すべきと提案しました。

 

すくすくスクールについてです。

共生社会の実現に向け、すくすくスクールが誰でも安心して利用できるよう、全校で配慮を要する児童数に見合う職員の加配を行い、保護者等の付き添いを求めることは、恒常的とならないように、限定した運用とすることを求めます。区立保育園で実施されている作業療法士巡回による保育士のスキルアップの情報、臨床心理士の巡回指導など、他機関、多職種との連携を進め、指導員のスキルアップに活かしてください。

 

ヤングケアラー支援についてです。

ヤングケアラー支援は進展していますが、家庭側が支援の受け入れをためらい、子ども本人の負担が解消されないまま時間が過ぎてしまう課題があります。

ヤングケアラーであることが判明した段階で、区内にある4か所の相談施設をはじめ、同じ境遇の方々や経験者と交流できる場所の情報を児童生徒に周知することが非常に重要です。

さらに、学校に専門スタッフを派遣して、気軽に参加できる相談会の開催もぜひ検討していただくよう要望します。

 

教育関連費の負担軽減策についてです。

低所得世帯の教育費負担を軽減する修学援助について、本区の基準を生活保護の最低生活費1.25倍から文京区並みの1.5倍へ引き上げ、対象者を拡大すべきです。生活保護基準が物価高に十分対応していない現状を踏まえれば、基準値の見直しは急務です。また、小学生の移動教室費や中学生の修学旅行費を所得制限なしで無償化し、全区民が恩恵を受けられるよう求めます。

 

給付型奨学金制度の導入についてです。

返済不要の給付型奨学金制度の導入は、教育費の負担に苦しむ高校生や大学生がいる家庭にとって重要です。貸与型奨学金は返済義務があり、多くの学生が約300万円の借金を抱えて社会人となり、晩婚化の一因とも言われます。独自の給付型奨学金を本区でも導入すべきです。

以上超党会派えどがわの総括意見といたします。決算特別委員会の写真