ごみゼロ宣言のまち「ゼロ・ウェイスト事業」
ごみゼロ宣言のまち「ゼロ・ウェイスト事業」

ゼロ・ウェイストセンター
上勝町では2020年ゼロウェイストセンターを設置し、2024年は43に分別して、ごみ処理を行っています。1997年までごみはすべて燃やされていました。しかし容器包装リサイクル法が開始され、1998年からは焼却炉で燃やすようになり、上勝町では年に3000万円のごみ処理費用が必要となりました。予算規模37億円に占める割合は大きな問題です。リデュース、リユース、リサイクルをすすめることが大事であり、2003年9月には2020年に向けて「ゼロ・ウェイスト宣言」を行いました。
こうしたことができるのは、住民の意識が高いのでしょうか。
きっかけは、アメリカのセントローレンス大学教授であるポール・コネット博士の言葉だったそうです。行政が行うことは何か問題が起きた後の対応ではなく、事前の対策を進めること。これをごみについてもあてはめたのです。住民自治を高めることが必要であり、「1Q(いっきゅう)運動」という1人1つのクエスチョンを持ち、その課題解決に予算付けをし、まちづくりを自分事ととらえる意識を醸成してきました。町民アンケートによると、ごみの分別については「めんどくさい」という声は今もあるそうです。
上勝町では一度もごみ収集車が走ったことがありません。住民たちは、自ら分別したごみを持ち込みます。生ごみは、各家庭に自己負担1万円で購入した生ごみ処理機が設置されており、そこで堆肥にしています。持ち込みが難しい家庭には、2か月に1度運搬支援があります。

細かく分別されているセンター
そんな「めんどくささ」を超えても行っているのは「暗黙知≒潜在意識」を使っているからと言います。小さな町であるためほぼ親戚であり、「うちはやっているのに、あのうちはやってない!」が、「あの家もやっているなら、うちも」という意識が働くそうです。葉っぱビジネスでは、担う農家だけが注目されましたが、ゼロ・ウェイスト事業は町民全員で取り組む事業です。毎年250件、年間3000名の視察の受け入れを行っていることを町民にも知らせ、全国から注目されているということが励みになっているということでした。
2020年には、リサイクル率81.1%を達成した上勝町ですが、リサイクルできないものがどうしても残ります。個人ベースでは解決しないため、企業との協業することが始まっています。

リサイクルできないものはショップに
この視察を通し、私は、江戸川区という隣に誰が住んでいるのかもわからない都市部においても、「住民は地域に暮らす共同体のひとりであること」、つまり市民自治をすすめることが大事だと思いました。上勝町の取組を、このまま江戸川区に持ち込むことは簡単ではありませんがこうした取り組みがあることを広め、リデュース、リユース、リサイクルを進めていくこと、分別回収と、ごみになるものは使わないという意識啓発を求めていきたいと思います。