デジタル教育 1人1台端末は子どもの学力向上につながるのか? 2025年第4回区議会定例会
江戸川・生活者ネットワークで開催した政策ゼミのテーマに、この「デジタル教育」を取り上げました。
きっかけは、子どもを小学校に通わせるお母さんたちの声、学校の先生から、本当にこのままでよいの?と投げかけられていたことに始まります。
7月に市民ネット千葉県の学習会「これでいいのか?!デジタル教育~IT先進国スウェーデンはタブレットをやめました」に、参加し、これはぜひみんなに聞いてもらいたいと思い、学習会を企画しました。
大阪教育文化センター事務局次長の田中康寛さんをお招きしました。
学習会の内容は、生活者ネットワークの機関紙、それゆけレポートにまとめてありますので、ぜひご覧ください。
通告
| 3.デジタル教育について |
| (1)第1次ギガスクール構想の検証の成果と課題について |
| (2)家庭学習について |
| (3)端末の持ち帰りについて |
| (4)使用制限の強化について |

CANVAでチラシつくりました!
以下質問文と教育長答弁です。
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次に、江戸川区におけるGIGAスクール構想の現状と課題について質問いたします。
本区では、1人1台端末として学習用iPadが全児童・生徒に貸与され、毎日の家庭学習や持ち帰りを前提とした「家庭での充電」、「使用ルール作り」が求められており、現状は家庭に多くの負担と管理責任が委ねられています。
貸与されたiPadの重さはケースと合わせて1キログラムにもなり、当初から小学校の低学年など体の小さな子どもたちや体力の弱い子どもたちには厳しいとの声がありましたし、長時間、ゲームやYouTubeの視聴をやめられず、不眠症、依存症になってしまった児童がいることも聞きました。
教員からは「文字が書けない子が増えた」「授業中にタブレットを勝手に開きゲームをする」「家庭で充電しているはずが電源が入らない」「持ち帰りが負担で忘れ物が増えた」などの声が現場から上がっています。
私たちは、デジタル端末が本当に子どもたちの学習に資するのか、逆に心身の発達へマイナスの影響が生じていないか疑問を持ち、先日学習会を開催しました。
そこで明らかになったのは、海外では端末の使用が見直され始めている事実です。スウェーデンではデジタル利用が脳の発達を妨げ、学力が急激に低下したことを受け、デジタル推進からアナログへの回帰に教育政策を転換しました。特に6歳以下の子どものデジタル学習を完全に廃止しています。PISA調査で学力世界一のフィンランドも「コンピュータに時間を費やしていることが原因とされる学力の低下」を政府が懸念し、学校でのモバイルデバイスの使用を禁止する法改正をしています。シンガポール、ニュージーランド、北欧諸国も同様に、読み・書き・計算、運動、社会性の低下を理由に政策転換が進んでいます。
日本でも、全国学力調査においてデジタル利用時間が長いほど、成績が低下する傾向が示されています。
もちろん、読み書きに困難を抱えている児童・生徒のタブレット端末の使用は当然保障されるべきことですが、
本区では来年3月、デジタルデバイスの入れ替えがあります。区は、利用規制を強化するとし、利用時間は6時から22時まで、YouTubeの閲覧にも制限を設けることとしていますが、端末を使うのは子どもたちです。ネクスト・ギガ、GIGAスクール構想第2期に入っておりますが、自治体として、子どもの発達、健全育成、データ保護、そして家庭への負担、これらすべてを考慮した丁寧な議論が必要だと考えます。
そこで以下、4点質問いたします。
まず1点目は、第1次GIGAスクール構想について、学力・生活・健康面・家庭負担・教員の負担など、江戸川区としてどのような検証を行い、どのような成果と課題が明らかになったのか伺います。
2点目は、GIGAスクールネクストに向け、学習用タブレット端末活用ガイド「保護者の皆様へのお願い」の見直しについてです。
「学習用iPadで、毎日の家庭学習を実施してください」とありますが、「学習用iPadで毎日の家庭学習を行うこと」を前提とする必要があるのか、紙のドリル学習でも十分ではないかと考えます。紙の学習を選択できるように見直すお考えはあるのか伺います。
3点目は、子どものへの負担です。少なくとも低学年については、端末の持ち帰りをやめ、学校に充電設備を整備するべきと考えますが、ご見解を伺います。
4点目は、使用時間の制限を「小学生は原則1日1時間まで」などのルールを子どもたちや保護者に伝えていますが、守られずトラブルになっているケースが多く報告されています。長時間の使用ができないよう、端末での物理的な設定に変更するべきと考えます。区として家庭での使用制限の強化のお考えについて伺います。
教育長答弁
1 教員への確認で家庭学習等、幅広い活用が判明した。一方で視力低下等の指摘は認識しており健康面との相関関係の情報収集に努める。
2 多様な学びができるよう、デジタルと紙のよさを活かした家庭学習の在り方を検討する。
3 充電設備整備の計画はないが、低学年での持ち帰りルールは現場の意見を聞き研究する。
4 使用時間等を制限できるソフトの導入を予定しており、適切な時間制限を実施する。
意見
1 2020年に学習用タブレットを導入したことで、教育の現場は大きく変わるとともに、端末持ち帰りにより、家庭での過ごし方も変化がおこりました。現状での変化を区として把握することが必要だと考えます。検証を行い、結果の公表を求めます。デジタル教育について、国は推進する一方ですが、10年以上先にデジタル教育を進めてきた海外では、推進の見直しがされている今の状況をしっかりと区として認識していただくようお願いします。
2 保護者の皆様へのお願いの見直しについてですが、紙での学習を否定するものではないということでしたら、表現の仕方を変えていただくようお願いします。発達期における、鉛筆を持ち、紙に字を書くという行為は、タブレット上に文字を書くこととは、脳に対する刺激が異なります。2次元上ではなく、リアルな3次元での生活体験を積み重ねることが重要です。「家庭学習に利用できます。」程度にとどめていただくよう要望します。
3 4 端末の持ち帰りについては、子どもへの負担を考えれば、せめて低学年の持ち帰りは避けるべきと考えます。充電設備の設置も含め、持ち帰りをしなくてよい環境整備の検討をお願いします。
