インクルーシブな社会を目指して。学校における作業療法とは。
将来地域でともに暮らすことができるよう、学校でもインクルーシブ教育を実現していきたいと思っています。
アメリカには作業療法士が各学校にいることを伺い、衝撃を受けた先月。
では日本で、実現できるのでしょうか。
先進的な取り組みを行っている、沖縄のこども相談支援センターゆいまわるの代表 仲間知穂さんにお話を伺いました。
仲間さんから「届けたい教育」の話を聞いたのも今から2年前だと思います。
旅費を出すことはできない貧乏ネットなので、どうにかして沖縄から出ていらしたときに、つかまえたいと思っておりました。しかしそんなチャンスはめったにやってきません。ようやく、その機会がめぐってきた!と思っていたのですが、新型コロナウィルスでお流れとなりました。
しかし、チャンスはまた到来です。遠くにいながらつながることができる、オンラインでの講演会開催(8月20日)にこぎつけました!
今学校からは、学級崩壊、いじめ、不登校、学力低下、子どもの貧困、中途退学、若年無業(小・中学校の時に学級にいられず困難を抱えたままの人の割合が高い)のSOSが出されています。だからこそ、専門家が入る必要があります。
しかし現場では、専門家は入れたくないという状況にあります。
専門家は問題の原因を探るのが得意なので、愛着障害、発達障害の傾向ありなどと指摘され、じゃあ病院にとなり、ドクターの診断がつきます。原因がわかれば安心しますが、問題行動の原因となっている生活環境(ひとり親、貧困、仕事など)を指摘されても、変えられません。最善を尽くして今があるけれど。モグラたたきのように次々と問題が湧き出てきます。。
チームを組んで行こうとなっても、子どもの未来を思うはずの会議が、先生も親もうつむいている状況です。
こんな状況をつづけてよいのか!?と仲間さんは8年間ボランティアで学校作業療法を行います。
学校からは問題(学級崩壊)が解決するなら来てよいといわれ、依頼されたオファーはすべてこなし、問題解決をしてきました。
OTの3つの視点、運動する力(座り続ける力)、考える力(瞬時に理解する)、情緒(こころのブレーキ)から、子どもを見ていきます。
先生がその子どもに届けたいものは何なのか。保護者がその子どもに期待しているのは何なのか。
よーく聞いてみれば、その子の未来のためにこうなってほしいと思っていることがその中にはあります。
OTの学校訪問は「できる」をデザインするための情報提供をし、その集団をどうつくっていくのかみんなで作戦会議を立てていくものです。
わかったようなわかんないような。
質問タイムではこんな問いがありました。
Q 教室からすぐに出ていってしまう子どもがいますがどうしたらよいのでしょう。
A こんな子どもがいました。チャイムが鳴ると、一瞬教室に入って、虫取り網をとり、すぐに校庭に出ていってしまいます。
でもこの子どもは、チャイムが鳴ったら教室に入るということがわかっています。入りたいけど教室にはいつづけることができない。仕方なく出てきてしまうのです。そこでみんなで作戦会議をたてました。その結論は、教室の中で授業を受けなくてもよいとしたのです。その子どもは廊下に机をおいて、授業をうけてますよ。(皆が同じとは限りません。一人ひとり妨げになっていることは異なります。)
Q 配慮が必要な子どもが同じ教室内に二人いたらどうするのですか?
A 全然問題ありません。すべてパーツにして考えていきます。先生が届けたい教育をデザインしていくのです。
Q 支援会議にはどなたがでますか?
A 一番小さいものは先生と親とOT。多いところは校長先生も、担任も、地域の方も入り20名くらいでやることもあります。
いつまでも支援員がいる状態を作り続けるのではなく、OTがいなくても大丈夫な教育をつくっていくこと。
今では、14市町村で行っています。
そして、沖縄県南原町では、教育委員会として学校作業療法を進めていくことになりました。
クラス全員の分析を行って、届けたい教育をデザインしていきます。
こんな素敵なことが東京でも実現できていけばよいな!と思いました。
まずは東京のどこかで必ず実現させていきたいと思います!