福祉健康委員会報告 - 2018年3月と4月 -
福祉健康委員会に付託されていた陳情についての生活者ネットワークとしての意見を記します。
第86号 甲状腺ガン検診の区議会決議を求める陳情(付託日H29年2月24日)
「震災時に江戸川区内の中学3年生以下の子どもが甲状腺ガン検診を希望した場合には、検査料の補助をおこなってください。」という陳情です。
以下のように生活者ネットワークでは考えます。
世界の潮流は脱原発、再生可能エネルギーを選択しています。それは福島第一原子力発電所の事故があったからです。化石燃料と原発のイメージがある中国も2050年までに全電力の8割を再生エネルギーに拡大するという大目標をたてています。
福島第一原子力発電所の事故により放射能汚染は日本全国に広がりました。
健康被害がないのか、しっかりと国が責任を持ち実態を把握すべきと考えますが、いまだそういった動きが見えません。
福島県民健康調査でさえ縮小の方向にあります。
チェルノブイリ事故でも、小児甲状腺がんが増加したのは事故後4年目以降ですので、すでに過去のこととするわけにはいきません。
江戸川区にもホットスポットがありましたので、しっかりと向き合っていくことが必要だと考えます。
子どもについては予防原則にたち、この陳情者の願意である、検査料の補助は妥当だと考え採択といたしました。
委員会としては、生活者ネットと共産党が採択、自民、公明、民進、江戸川クラブは不採択で、不採択多数となりました。
(これってややこしいなあと思うのですが、この陳情については、不採択で諮り、不採択に賛成の委員は挙手をしてくださいとなるので、私たちは手を上げないということになります。)
第89号 子育て支援、低所得世帯の国保料軽減、「国民皆保険制度」にふさわしい国民健康保険制度とするための陳情(付託日平成29年3月24日)
国民健康保険制度については今回議案にも上がっており、江戸川区は4年間で法定外繰り入れをなくす方向で、23区統一保険料方式から離脱し、独自の保険料率を設定することとしています。
この陳情文に、払える保険料にしてくださいとあり、その点は理解できますが、国民健康保険が今後も制度として成り立つことが前提であり、今回の改定は低所得者への配慮もされているところです。
一般会計からの繰り入れをこれまで以上に増やすということは難しいと考えますので、不採択といたしました。
生活者ネット、自民、公明、民進、江戸川クラブは、不採択、共産党は採択でした。 委員会では不採択で諮り賛成多数となりました。
第100号国民健康保険財政の都道府県への移管に係る意見書の提出を求める陳情 (付託日平成29年9月26日)
こちらも先ほどの89号と同じく、国民健康保険についての陳情でした。
予算特別委員会での質疑にもありましたが、激変緩和のために、国も財源投入をしておりますし、区も、低所得者層への配慮もしています。
これらのことから不採択とします。
生活者ネット、自民、公明、民進、江戸川クラブは、不採択、共産党は採択でした。 委員会では不採択で諮り賛成多数となりました。
第87号 要介護者への「生活援助」の重要性を理解し、地域支援事業に移行することなく介護給付として継続させるよう政府に意見書を提出することを求める陳情(H29.2.29)
この陳情については、委員会としては結論をだすことはできませんでした。私たち生活者ネットワークとしては、どの陳情に対しても一定の結論を出すことが必要だと考えておりますので、大変残念な結果でした。
今回の2018年4月の介護報酬改定では、生活援助は人材確保という点から資格要件を緩和しましたがひとまず法定給付ではありました。
要介護者への生活援助は、高齢期の在宅生活を支える基本ともいえるものです。重度化予防のためにもこうしたサービスが全国どこでも受けられるように、今後も法廷給付の対象となりえるよう意見書を提出してほしいという含意は妥当だと考えており、採択すべきであるという意見を述べました。
第91号 0歳児における家庭保育の充実と1歳児認可保育園「入園予約制」の実施に関する陳情
こちらの陳情も各会派で意見が分かれました。よって結論を出すことができませんでした。
私たち生活者ネットワークは趣旨採択といたしました。
陳情文を読みますと、今の江戸川区での子育ての状況がわかります。核家族化が進んだ家庭で子育てを行うに当たり、リフレッシュできる一時保育が足りないということや、保育園入園をするのに、育児休業を早々に切り上げ0歳児で入園をしていることなどです。
そのための解決策として具体的な方法を提案されています。
家庭保育の充実のために、一時保育を行う場所を増やすことや、バウチャーや子育て支援券を支給することは、孤独な子育てをしている家庭にとって有効な施策です。子育てと仕事の両立ができるように、しっかりと育休をとっても保育園に入れるような仕組みとすることも今後の課題です。待機児童数の減少にもつながります。
来年度は子ども子育て支援事業の計画策定の調査の年です。ぜひともこのような視点を入れた調査にしていくことが必要です。
第96号「介護報酬のプラス改定を求める意見書」を国に提出することを求める陳情(付託日平成29年9月26日)
この96号については、今年の4月の報酬改定に関して、意見書を提出してほしいという内容でしたので、間に合うことが必要だと考えておりました。結論を出すよう働きかけを行いましたが、委員会としてまとまらず、残念だと感じております。
2015年の介護報酬改定はマイナス改定でしたので、介護業界では倒産や事業の撤退が相次ぎました。
そして、軽度者に対するサービスは3年を移行期間とし、総合事業へと大きく変わってきております。
陳情者の方からは別途「介護保険制度改定の影響」に関するアンケートの結果を資料としていただいており、半数以上の事業所が経営が悪化した都回答しています。実態がよく見えるものでした。
自由記載欄には、事務の手間が増える加算ではなく介護報酬を上げてほしいという声も多くあります。人材確保も難しく、江戸川区でも確保に対しては力を入れていますが、この陳情者の、介護事業所が安定して経営ができ、利用者により良い介護サービスの提供、介護従業者の労働環境を改善できる介護報酬に改定することを求めるという願意は妥当であり、採択すべきでした。
この96号陳情についてはまだ付託日から4回目の定例会が過ぎておりませんので、審議継続となっています。
陳情106号 小児甲状腺検診の実施と市民ボランティアへの補助を求める陳情(付託日9月23日)
86号陳情と同じように甲状腺ガン検診の補助を求める陳情です。
4月の委員会では要求した資料が出てきました。
- 飲料水の支給状況
- 福島県「県民健康調査」検討委員会で報告された甲状腺検査結果
- 区内の放射線測定結果
- 福島県以外の自治体の甲状腺検査超音波検査の実施状況
- 東京電力福島第一原子力発電所事故当時の区内の18歳以下人口
- 東京電力福島第一原子力発電所事故当時の区内の妊婦数
私たち生活者ネットワークはこの陳情の願意は妥当だと考えています。
当時、厚生労働省が暫定的に定めた飲食物の乳児向け基準は1キログラムあたり100ベクレル以下でした。
2011年3月22日に210キロベクレルの放射性ヨウ素を検出したので、水道水を乳児は控えるよう呼びかけがありました。そこで、乳児向けにペットボトルの水の配布(23区と多摩地区の5市3本配布)に至ったかと思います。
今の放射性セシウムの基準値が飲料水で1キログラム当たり10ベクレルですので暫定値が相当高かったことがわかります。
当時を思いおこすと、流通の関係もありますが、スーパーには商品がなくなり、ペットボトルの水も、軒並みなくなりました。
水を求めるためには、乳児を家に置いておくこともできませんから、一緒に買い物にでることになります。そうすると、その子どもが被ばくすることにもなり、悩むお母さんもいました。
水道水で放射性ヨウ素が出たということは、空から降ってきたのですから、東京にも影響があったということですし、葉物などの野菜類にも影響があったと考えられます。
放射性ヨウ素が、呼吸や飲食物を通じて人体に取り込まれると、甲状腺に集積し、放射線被ばくの影響により数年~数十年後に甲状腺癌等を発生させる可能性があります。ですので、安定ヨウ素剤を事前に服用することにより低減することができるので、事故があった場合は配布されます。半減期は8日ですので適切に配布されることが必要となります。
しかし、当時は何が起こっているのかわからず、そのような危険も知らずに無防備に過ごしていた方が大半であったかと思われます。
子どもの将来のためにも予防という観点から、甲状腺検診の実施は意味があることだと考えています。