第3回介護の日フォーラムに参加して 基調講演「まだ変わる!介護保険」

第3回の介護の日フォーラムは、「人生100年 どうする日本の福祉『我が事・丸ごと』カネがいる!」 という過激なタイトル。

今年は表参道のウィメンズプラザで

基調講演は、市民福祉情報オフィス・ハスカップの小竹雅子さん。

1981年から1990までは「障害児を普通学級へ・全国連絡会」の事務局を担当。1996年市民福祉サポートセンターの設立に加わり、運営委員として事務局を担当。1998年、同センターで介護保険制度についての電話相談を実施。2003年、「市民福祉情報オフィス・ハスカップ」を主催。メールマガジン「市民福祉情報」の無料配信をしています。

社会保障審議会を欠かさず傍聴してきた方です。

小竹雅子さん

介護保険は利用する人の「自己決定、自己選択」と説明された。これにはびっくりと小竹さん。行政が「あなたの考えを尊重しますよ」なんてこれまでなかったことだからと。

それまでは、措置制度であり、中高所得者にとって利用料負担が重く利用しにくいものでした。だから生活協同組合や任意団体の「たすけあい活動」「支え合い活動」が展開されていたのでしょう。

1997年の介護保険法成立、1998年特定非営利活動促進法(NPO法)成立、そして2000年に介護保険法が施行となりました。

NPO法の成立により、多くの市民活動団体は、主に在宅サービスの指定事業者になる組織が増えました。

介護保険は走りながら考える制度として、数々の改正を行ってきました。

その後のシンポジウム

 

今、施設サービスを利用している人は2割であるのに、給付費全体の3割を占めている。一方、在宅サービスは8割の人が利用。集団ケアする施設を厚くして、在宅からサービスを減らしていくのはおかしい。生活援助などは、女性が担ってきたことから、人件費を安く抑える方向になるのだろう。だから給付費が低い。

もっと怒ってくれ!

2014年の改正で、地域包括ケアシステムという概念が入り、介護予防・日常生活支援総合事業が始まった。

これは、一般介護予防事業と、介護予防・生活支援サービス事業。

生活援助は、高齢期の生活を支えるうえで重要なサービスだが、昨年の審議会ですでに生活援助の回数制限の話が出ていた。

給付は認定が増えたら補正予算を組む。しかし、事業は利用が増えても、補正は組まない。総合事業と介護予防サービスは同じ書式を利用しているため、ケアマネージャーですら気が付かないという状況が生じている。抑制のトリックが使われている。という。

社会保障に金がかかるというが、介護保険は社会保障給付費の8%だという。2015年度社会保障費用統計(2017年8月1日公表)より

全体119.2兆円。年金55兆(48%)、医療37.7兆円(33%)、福祉その他で22.2兆円(19%)、うち介護9.4兆円(8%)。

多くが医療費にかかっている。フランスでは認知症の薬を効果がないと外したそうだ。医療について後期高齢者の病気の実態の調査がない。

一方、社会保障の財源123.2兆円は、保険料収入が66.9兆円54%。公費46.1兆円37%。その他10.2兆円8%。

現場からの声

社会保障給付費の負担は20年間で事業主負担が軽くなっている。税金に代わっているということ。

我が国の社会保障制度は、社会保険方式を取りながら、高齢者医療・介護給付費の5割を公費で賄うなど、公費負担に相当程度依存している。その結果、近年、高齢者医療・介護給付費の像に伴い、負担増は公費に集中している。これを賄う財源を確保できていないため、給付と負担のバランス(社会保障制度の持続可能性)が損なわれ、将来世代に負担を先送りしている。

最後小竹さんから、「金がないというのはうそだ!」「給付は給付で保障しろ!」ということに加え、市民団体側も、「ぜひ自分たちの活動の整理を」とご意見をいただきました。