熊本県の認知症対策について ~福祉健康委員会 視察報告2~

翌29日は九州新幹線に乗り、博多駅から熊本駅に移動し、熊本県庁で「認知症対策について」を視察しました。

さくら405号に乗って移動

熊本県では、認知症を患ったお母さんの介護経験がある蒲島知事が就任したことにより、認知症対策の重要性が改めて認識され、重点施策に位置付けられたとのことです。

県庁の組織に認知症対策・地域ケア推進課を置いています。

国が定めた「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」-認知症高齢者にやさしい地域づくりに向けてーには7つの柱がありますが、熊本県では積極的に取り組んでいます。数的目標も設定し、達成済、あるいは達成見込みです。

熊本県の認知症施策の体系は、医療、介護、地域支援の3つの柱を立てています。

医療は「熊本モデル」と言われる3層構造の医療体制が組まれています。

認知症の早期診断や診療体制の充実のため、地域での拠点機能を担う、「地域拠点型」と、県全体を統括する「基幹型」の2層構造が、熊本モデルとして、2009年(平成21年)に整備されました。

イラストで分かりやすく認知症介護のポイントが書かれている

2017年からは診療所型の設置要件に病院が追加されており、県内の11か所に認知症疾患医療センター(地域拠点型)が設置されました。

さらに、このセンターとかかりつけ医との連携を促進するとのことです。

基幹型では、年6回の事例検討の実施や、基幹型センターから地域拠点型センターへの専門医を派遣しています。

また、医師等に向けた認知症対応力の向上研修会が実施されており、熊本県独自で、ステップアップ講座を開催しています。内科医だけではなく、整形外科医や、歯科医、薬剤師、看護師も受講しています。

認知症を患う方は認知症だけではなく、その他の疾病も持っており、他科を受診しているため、病院勤務の医療従事者に認知症対応力向上研修を行っています。

認知症初期集中支援チームは2017年度末までに45のすべての市町村に設置するとのことでした。

介護体制の構築も高齢者向け住宅の職員に対する質の確保のために、県独自で、有料老人ホームに権利擁護推進研修を行っています。権利擁護は大切な視点だと考えます。

熊本弁で表現

若年性認知症支援もコーディネーターが置かれています。

地域支援体制について、認知症への理解を深めるための普及・啓発のための「認知症サポーター」の人数は、国の目標800万人を熊本県の人口に当てはめると、11.3万人(2017年)となりますが、大きく上回り、直近の2017年3月には28万人います。

県教育委員会を通じて市町村教育委員会へ働きかけがあり、小・中学校で認知症サポーター養成講座が実施されています。

各地域では認知症カフェが開かれています。

家庭版ケアのポイント集「認知症の人とともに生きる」という冊子をいただきましたが、イラストがたくさん使われ、熊本弁で分かりやすい事例が掲載されていました。

また、運転免許の更新の際に、認知機能検査がありますが、運転適性相談窓口を設置し、認知機能の低下が疑われる方などに対し、専門相談を実施しています。3人の看護師が配置され、医療機関への受診勧奨、運転へのアドバイス等を行うことにより認知症の早期発見につなげるとともに、交通事故防止を推進しています。

 

ちなみに江戸川区の現在の認知症サポーターの数は2016年度末で14,915名です。

家族が陥りがちな好ましくない対応例もある

国の目標値を江戸川区に当てはめると4.3万人となるので、目標値として定めて、積極的に取り組んでいくことが必要かとは思います。