2017年度予算特別委員会 -総括意見ー

2017年度予算特別委員会総括意見

2017年度予算特別委員会総括意見

伊藤ひとみと交代ですべての予算について審議しました。

最終日に述べた総括意見は以下の通りです。

 

 

 

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2017年度江戸川区一般会計、歳入歳出予算及び各特別会計、歳入歳出予算について、生活者ネットワークの総括意見を申し上げます。

国においては、国債減額による財政健全化の枠組みのもと、税収は伸び悩み、歳出総額が抑制されたにもかかわらず、防衛関係費は拡大し、リニア中央新幹線などへの旧態依然としたインフラ整備が中心の財政投資が引き続き行われています。

社会保障関係費は自然増により増額になりますが、医療・介護制度改革によって高齢者の負担は引き上げられることになりました。消費税増税の目的が「社会保障の充実・安定」であったとは思えない施策になっています。真に私たちの暮らしを守るため、社会保障制度改革、最低賃金の引き上げによる安定雇用など「生活重視」の政策に切り換えなければなりません。

本区では財政の「見える化」を進めるために新公会計制度を導入しましたが、今後、財務分析や政策形成・評価など、議会でもしっかりと分析し、予算審議にも活かしていかなければならないことを痛感しています。国や東京都は子ども・子育て支援事業への支援策を打ち出し、区も保育士への給与加算や私立保育園の新設などの施策に反映しています。学習支援やなごみの家などの居場所に関しても拡充がなされていますが、子どもから高齢者まで誰もが住みよいまちにするためには、計画段階からのまちづくりへの区民参加を切に望みます。

以下、審査の過程で取り上げた課題について、再度要望いたします。

まず歳入について申し上げます。

区が従前より子どもの貧困対策として取り組む優れた政策である「木全手嶋育英事業基金」への寄付については、窓口をわかりやすくすることや、HPの画面から寄付ができるようにし、その使われ方がよりわかるよう広報に力を入れることを要望します。

次に、歳出についてです。

江戸川区が今後取り組む重要な計画策定について、4点申し上げます。

まず、男女共同参画推進計画についてです。すでに出されている原案からは「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」という文言がなくなっています。性と生殖に関する健康・権利という、生涯にわたる個々人の健康に関わる基本的な概念であり、性教育の推進とともに、計画に明記していただくよう要望します。

次に熟年しあわせ計画及び第7期介護保険事業計画についてです。

策定のための基礎調査は、介護者家族からのニーズを聞き取ることが十分になされることを求めます。

次に第5次環境行動計画についてです。

「石けん使用指針」の文言を復活させ、名実ともに環境に配慮した取り組みを行うために、理由がわかる説明書きを置くなどし、委託事業者も含め、全庁的に石けんの使用がいきわたるよう要望します。

最後に、都市マスタープランについてです。超高齢社会に向けて福祉的観点を取り入れ、ユニバーサルデザインに基づき、誰もが外出しやすい、歩行者主体のまちづくりを求めます。

次に、「未来を担う人づくり」の観点から、まず子育て支援について3点申し上げます。

人とのつながりが持てず、不安や悩みを抱えながらの子育てが今日の課題です。こうした人たちをサポートするためには、広く子育て世帯にアプローチし、リスクを減らすポピュレーションアプローチの取り組みが重要です。幼稚園閉園に伴い親子ひろばあいあいも閉鎖されます。様々な課で行われている親子への支援を、母親同士の仲間づくりの観点も入れ、親子の育ちを見守ることの総合的な計画がなされるよう要望します。

母子手帳交付時に給付する「ぴよママギフト」の利用対象範囲を拡大し、おっぱい相談や一時保育などの産後ケアサービスにも使えるよう、検討を求めます。

また、区内施設に子ども向け仕様の部屋を設置することを要望します。それにより託児付き講座などイベント開催も広がり、子育て中の親子が社会との接点を多く持てるようになると考えます。

次に学校教育についてです。

子どもたちが薬による健康被害や薬物乱用などの知識を身につけ、自ら健康管理ができるよう、学校薬剤師をさらに活用し、講習などが各校でなされることを要望します。

高齢者福祉について3点申し上げます。

今後、新総合事業の本格実施に向け、何を実施するのか、負担はいくらか、事業者の責任や事業者指導のあり方、利用に関するきまりについてなどを盛り込んだその規範は条例によるべきと考えます。条例化を検討されるよう要望します。

住み慣れた自宅で最期まで過ごすための看取りについて、早急な取り組みが求められます。そのためには、本人、家族だけでなく、介護職や医療職も思いを共有し、本人の生涯を支える連携が必要です。在宅での看取りについてのシンポジウムなどを行い、多くの区民が共有できることを要望します。

障害者福祉について申し上げます。

急激に増えた放課後等児童デイサービスを例にとれば、その質にばらつきがみられます。人材不足の解消や人材育成、サービスの質の向上のためにも各サービス別の事業者連絡会をつくり、研修の実施や連絡調整などの支援がなされるよう要望します。

区民との協働を進めるために、2点申し上げます。

多くの区民が区政に関心を持つことが区民参加のまちづくりにつながります。庁舎内に行政情報を実際に手にとってみられる区政情報コーナーを設置することを求めます。

また、福祉や環境の分野で市民力が活かされるよう、新たな活動をつくり出したいと思う区民に対する応援として、ボランティア基金の復活、あるいは市民活動支援としての新たな基金の設置を要望します。

最後に北小岩1丁目東部地区におけるスーパー堤防と一体のまちづくりについて申し上げます。

このたび発生した盛り土実施後の地盤の強度が宅地基準を満たさないことは、スーパー堤防事業の根幹を揺るがす重大な事態です。適切な対応を行い、安全を担保することが極めて重要であり、国が新たな対応策を講じた後、より精度の高い検査により安全を検証するよう、国に求めるべきと考えます。安全確認のため、地区内の区有地と道路の地耐力データについての公開を求めます。今後に向けては、スーパー堤防の上に住宅をつくることが適切なのかどうか、区として検討することも強く求めるものです。

以上、審査の過程で取り上げ、申し述べてきた項目も含め、区政に反映していただくよう要望いたします。  新年度の一般会計予算案につきましては、改正児童福祉法により児童相談所の設置が23区において可能となり設計予算が組まれたことや拡大される子どもの居場所づくりなど、未来を背負っていく子どもたちへの支援の姿勢が表れていると受け止めます。よって、第1号及び第2号から第4号までの各予算案に賛成いたします。修正案に関しましては、一部の趣旨に関しては理解するものですが、全体としては反対いたします。  改めて、区民の声を反映させる区政運営のためには、真に区民の声を聞く姿勢と情報公開および説明責任が果たされることが必須の条件であることを申し上げ、生活者ネットワークの総括意見といたします。