スーパー堤防で地盤強度不足発覚~北小岩1丁目東部土地区画整理事業について議会質問

北小岩1丁目東部地区ではスーパー堤防と一体のまちづくりが行われています。いよいよ3月末で地権者の方に引き渡しというところで、盛り土を実施したあとの地盤の強度が、宅地基準を満たさないところがあることが発覚しました。生活者ネットワークでは、地盤や盛り土の安全性については、これまでもさまざま指摘をし、昨年の予算特別委員会では地耐力調査を行うべきと申し上げてきました。

3月14日の現地の状況

3月14日の現地の状況

以下3月7日の予算特別委員会土木費での質疑です。

Q 地盤調査を行った目的と、今回の結果に至るまでの経緯は?

A 今回の調査にあたっては、住宅を建てるために必要な地耐力を確実に引き渡すために行ってきた。一部箇所において、地盤の強度が宅地基準を満たさないところが国の施行範疇で確認をされた。この調査は現在もまだ行っており、来週半ばまでの調査の見通し。国も調査に入っており、区が二班で、さらに国が一班と、計三体制で今鋭意調査を継続して行っている。もともとの地盤の箇所に、薄く軟弱地盤層が点在している。

Q 盛り土部分にも弱いところがあると聞いたが、それはどうか。

A 全容は明らかになっていない。全体が明らかになったら報告する。

Q 2月28日の「まちづくり懇談会」が開かれたが、地権者の方はどのように受け止められているか。またその際の主な意見は。

A 当然引き渡し期間が延びることは、不快感をお持ちだった。いつ引き渡されるのか、どんな改良をするのかなどの質問、引き渡し方法に関する要望も受けた。

Q 個々の場所は、地権者の方のものでありながら、国が管理する高規格堤防特別区域、つまり河川区域となる。宅地としての安全性の確保と同時に、堤防としての安全が問われる。宅地としての地耐力の基準は30kN/㎡であるが、スーパー堤防自体の強度の基準は?

A 北小岩1丁目地区は国と協議した中で、30kN/㎡を基準とした。堤防の基準としては、対浸透性、耐震性能(液状化)、沈下しないか(地耐力)を満たすようにする。

Q スーパー堤防の場合、盛り土の上に家を建て、まちをつくることから、メンテナンスがいらない堤防とされており、そうであるならば、家を建てたり、まちづくりを行う前に、盛り土や地盤の安全を確認しておくことは不可欠。少なくとも地区内に6カ所ある区有地の地耐力データについては公開すべき。加えて公共施設である道路の調査も行いデータを公表すべきだがいかがか。

A 売却を予定している5宅地、区で活用予定の1宅地は国が対策完了を確認したうえで、公開すべき内容については、精査をして判断したい。

意見: 地権者は、自分自身の画地のデータしかわからず、どこでどの程度の基準不足が生じているのかと不安に思うことだろう。こうした問題が起きている以上区有地の調査データを示し、また、不足があった場合、どのような対策を講じて安全が担保されたのかをお知らせ、区民の知る権利にこたえることで、その先の安心につなげる必要がある。区有地については、データの公表を。また、地区内の公共施設である道路での調査もぜひ実施すべき。

Q 以前にも指摘したが、この土地は東側は自然堤防、西側は埋土地とそもそもの地盤構造が異なる。どのような対応であったのか。

A 国が設計に入る前にボーリング調査をエリア 8 箇所で行い、それを踏まえて施工。

Q 今回確認された、地耐力不足の画地においては、今後どのような対応策を講じるのか。

A まだ全容が明らかになっていない。まずは早急に状況、全容が明らかになった上で国がどのような対策を講じるかというようなことを報告させ、報告内容に問題がないかということを区として、吟味して、そのうえで、実行してもらう。また、関係地権者の皆さんにも解りやすく、説得力のある説明を国に求めていく。

Q 所有者の引き渡しが 2 ケ月伸びて、5 月末になるとの報告を受けたが、対応策が今、決まってない中で、延期を 2 ケ月としたその判断基準は?

A 区画整理事業の手続の中で、土地を引き渡しをするのは、使用収益の開始を定めなければならない。引き渡しが確実になった日から逆算をし、概ね 40 日前に権利者のみなさんに書面で通知を出す手続きがあるので、少なくともその40 日の時間を要する。それに加えて国なりの対策工事、それから今、私共も、国が対策工事をすることを前提に、本来区がやるべき仕事を止めて、場所を用意するというようなことも今、調整しているので、2 ケ月というようなところは想定できる範囲。ただ、これから国が全容を把握してどういう対策を講じるかはっきりしないと明言ができない。

意見: 決して事を急いではいけない。工期が何回も遅れているが、盛土の安全、画地の安全はしっかりと確認しなくてはならず、慎重に丁寧に対応するよう願う。

Q 国が対応策を講じたあと、改めて区に引き渡される際、区はどのようにその安全を確認をするか。

A 現在行っている区の調査なり、国が調査をするものについても、JIS の規格にあった調査方法で確認している。区がやっても国がやってもどちらがやっても、その内容については確認できる。

Q JISの規格とはスウェーデン式サウンディング調査のことか。

A その通り。

3月14日 盛り土の上側からみた現地の状況

3月14日 盛り土の上側からみた現地の状況

意見: 今回の調査は、深さ5mまでの調査であり、それ以上の盛り土の部分については、既存の地盤についてのデータは得られていない。またスウェーデン式サウンディング調査は、面に針を通して図るようなものであり、判定のバラツキが発生しやすいともお聞きする。対応策を講じた後には、簡易な検査でなく精度の高い検査を行い、検証する必要がある。そして当然国が行うべきと考えるので区としても要望を願う。

Q 区の調査とは別に、地権者の方が自ら地盤調査を行い、もし、地耐力不足の判定が出た場合はどのような対応がとられるのか。

A スウェーデン式サウンディング調査は、市場が最も活用しているポピュラーな検査方法。引き渡した後は、やはりSWSを行うことが多い。これは、問題ない。数値にばらつきがあっても、傾向は変わらないと認識している。一つひとつ確認しながら、お引渡しをする。万が一のことがあれば、状況を確認しあらためて吟味しながら対応すべきことについて対応していく。

意見: 宅地の安全と盛土の安全というのは違う。盛土の安全というのをしっかりと確認してから区として引き取っていくべき。一般の人にとって、土地家屋は最大の資産であり、地権者のみなさんは、スーパー堤防の盛り土を行うことで、安全性が高まり、資産価値も増すとの説明を受け、本事業がすすめられてきたもの。その中で起きた今回の地耐力不足は、事業の根幹を揺るがす事態。まちづくりと一体的に行うのがスーパー堤防事業のスキームであるが、現在の状況からは、まちづくりを行う区がマネージメントしがたい事業とも言える。スーパー堤防の上に家を建てさせる、というスキームは妥当なのか、改めて考える必要があるのではないか。今回のことは、通常堤防であれば、これほどのことにはならなかったのでは。この時点で、そもそも論を持ち出すことはあえてしないが、国も区も、施行者の責任において、徹底して宅地及び堤防の安全の確保に努めていただくよう要望。不足箇所は部分的であっても、全体を見ても、このエリアは狭いエリアであり、それぞれ個々の対応ということではなくて、最終的に地区全体としての安全を確認して、区に再度引き渡されなければならない。まだ調査途中ということだが、なにがおこったのか、それはなぜおこったのか、そして今後どうするのか、 原因究明を徹底して行い、事実と対応策について、しっかりと説明することが極めて重要。丁寧に対応を。また全容がわかったら、議会にも住民に対しても説明をすることを要望する。