2017年6月 本会議質問1 -幼稚園における発達障害など配慮が必要な子どもの受け入れー

今年、幼稚園の入園式に出席いたしました。

嬉しさから手を振る子どもや、不安そうな表情の子ども、まだ状況がわからない子どもなど、多様な個性が見て取れました。近年、発達障害などの配慮を要する子どもが増えていると言われていますが、本園においても、その傾向があるように見受けられ、幼児教育における支援体制について改めて考えさせられました。

発達障害の子どもは、様々な場面で困難さを抱えています。

本区においては、2012年(H24年)7月に発達障害に関する支援方針を定め、発達障害相談センターを設置、乳幼児施設等巡回支援事業などで、早期発見、早期の発達支援に取り組んでいます。

区立幼稚園では、2014年(H26年)には、船堀、小松川、篠崎の3園で合計14人の配慮を要する子どもを受け入れ、2016年(H28年)には29人へと倍増しています。

幼稚園では希望があれば誰でも入園できる体制を整えることが必要だと考えます。

そのためには、ハード的な園の整備や、人員体制を整えることが必要であり、子どもが不利益を被ることがあってはなりません。障害の特性は1人1人異なるものであり、その子どもの特性や、幼稚園生活を送る上でさまざまな場面や状況によって支援のしかたは異なります。園が受け入れるためにはどのような配慮が必要なのかを考えるべきです。

そこで幼稚園教育における発達障害など配慮が必要な子どもの受け入れについて質問しました。

1.幼稚園職員だけではなく、医師、心理士などの専門家も含めた就園を検討する委員会などを設置してはいかがかと考えますがご見解は?

教育長答弁 面接員の園長、副園長で丁寧に保護者から聞き取りを実施。必要に応じて関係機関の育成室や発達障害相談センターで連携を図りひとりひとり丁寧に受け入れを行っている。現在の方法を今後とも続ける。

こうした配慮が必要な子どもを受け入れるにあたっては、教師の支援力の向上だけでは、対応は難しいのではないかと考えます。現在、小・中学校では必要に応じて介助員が配置されていますが、幼稚園にはありません。担任の先生だけで、コミュニケーションが困難な子どもと意思の疎通をするには限界があります。

現在、配慮が必要な子どもが入園するにあたっては、必要に応じて親の付き添いや、早めのお迎えなどの条件があります。なぜ補助教員や介助員が配置されていないのか疑問です。

2.障害者差別解消法に謳われた合理的配慮の観点からも、補助教員、あるいは介助員を配置し、集団生活での学びの場が等しく提供されるべきと考えますがご見解は?

答弁:担任だけではなく、副園長も対応をしている。補助教員とか介助員を必要としていない。そういう声を聞いていない。 もし重篤な場合、介助員が必要なケースはその都度園と相談してまいりたい。

区立幼稚園は現在2園となり、小松川幼稚園も2019年(平成31年)3月には閉園予定です。本区では、幼稚園教育は私立幼稚園が担っていくことになります。発達障害など配慮が必要な子どもは早い時期にわかるようになりました。療育と併用して、幼稚園教育を希望する子どもが増えていくと考えます。また、なんらかの障害のある子どもの教育の場としても、今まで以上に期待されます。子どもを囲む周りの人との対話や協力を得ながら、一人ひとりに合わせた合理的配慮を考え、障害のある子どもも、ない子どもも共に過ごし、学ぶ、インクルージョンという考え方の教育を実現していくことが大事です。

3.発達障害など配慮を要する子どもが増えている現状を踏まえ私立幼稚園でも入園希望時から積極的に受け入れるよう、区として求めるべきだと考えますが、お考えをは?

答弁:区立幼稚園は2園しかなく大部分は私立幼稚園が担っている。配慮を要する子どもについても個の状況に応じて従前より適切に行っていると確信をしているし、そのようだ。配慮を要する子どものいる園では、発達障害センターなどと連携して、教職員の方の支援力の向上、力が増すように意欲的に取り組んでいる実態がある。それをご理解いただければ。

4.私立幼稚園に配慮を要する子どもが、どのくらいいるのか、そして入園を希望しながら入れなかったケースはなかったのかなど把握する必要があると考えますが、現状はどうなっているのか?

答弁:28年度実績で私立園25園で延べ129名の子どもたちの支援をしている。私立園については適切に子どもたちの立場にたって対応はしている。保護者からの相談には十分に状況をお聞きし、場合によって園からも話を聞き個別に対応を取っているところ。

23区で公立幼稚園を設置しているうちの13区ほどを調査しましたが、どの自治体においても、就園を検討する委員会などが設置されていました。どうすれば教育環境が整うのかということを検討しています。千代田区においては、重度障害の子どもが1回でも幼稚園に通うことができるようにと、居宅訪問事業の中で保育士を派遣し、自宅で保育をしながら、幼稚園にもその時間内での通園を試したそうです。子どもたちは成長過程にあります。幼児期の過ごし方で、今後の成長の可能性は広がるはずです。

江戸川区においても、希望する子どもを入れるかどうかの検討委員会ではなく、入園の希望がある場合に受け入れるためにどう体制を整えればよいかという専門家を入れた就園検討の場を設置することや、補助教員や介助員の配置の検討も行うことが必要です。

ぜひ合理的配慮のもとに現実的対応が必要だと考えます。

私立幼稚園についても、幼児教育を私立幼稚園が担っているという実情がある中で、現状を区が把握することは当然だと考えます。入れなかった子どもがいなかったのかなどの実態調査をしていくことが必要です。

子どもたちには、どの子どもたちにも、等しく遊びも学びも保障される権利があります。配慮の必要な子どもの幼児教育も保障すべきです。